駒ヶ根青年海外協力隊を育てる会 会長
高坂 保 さん
私たちに大きな感動を与えてくれた長野冬季オリンピックが、長野市を中心に開催されたのは、今から11年前の1998年2月であった。この大会の大きな目標の一つに「21世紀に生きる青少年に大きな夢と感動を与え平和を願う心を育てる」というのがあり、1995年から長野市内の小中学校、特殊教育学校で、「一校一国」交流活動に取り組む活動が始まった。
私は当時駒ヶ根市教育長として、駒ヶ根市でもこのような運動に参加できないかと考えたが、会場から遠く離れた地では、オリンピックに関連したこの運動に参加することはとても難しいことであった。
しかし駒ヶ根には、全国に誇れる青年海外協力隊訓練所がある。この訓練所には世界の開発途上国の国づくりに夢と情熱を燃やして訓練しているJICAボランティアがおり、語学を指導している外国人講師も大勢いる。これを活かして「一校一国」運動を展開することが出来ないかと考えた。
当時の阿部憲子所長にこの想いを話してみると、「訓練生にとっても地域の子どもたちにとっても役立つことであればやってみましょう」との返事であった。
青年海外協力隊訓練所のある町として、子どもたちに開発途上国の国づくりに貢献しようとするJICAボランティアの考え方や人柄に触れ、協力隊活動を理解すると共に広く世界に目を向ける国際理解の第一歩を踏み出して欲しい。またJICAボランティアにとっても異年齢の子どもたちと接する事を通して異文化理解の体験にもなるだろうし、任国研究発表の場ともできるだろうと1998年から市内小中学校との交流を始めた。
そしてこの交流も単なる行事として終わらせたくないとの想いから、交流の過程を「(1)訓練中の交流、(2)派遣中の交流、(3)帰国しての交流」の三段階をセットと考えた。
訓練中の交流は、子どもたちも事前学習を重ねたり、JICAボランティアも実物を持参したりして、子どもたちにとってもJICAボランティアにとっても、楽しい交流になっているようである。派遣中の交流についても、メールや手紙の交流、さらには現地の子どもたちとの絵画や作文の交流に発展しているところもあり交流の目的が達成されている。しかし帰国後の交流については帰国隊員の仕事の問題などがあってなかなか実践されにくいという課題を持っている。「サーモンキャンペーン」として、これを更に隊員OBOGとの交流に発展させ、地域づくりへとつなげていければと願っている。
現在は近隣町村の小中学校や高校へも発展していることは嬉しいことであり、更なる充実を期待している。私もJICAボランティアの応援団として支援していきたい。
派遣国での活動内容を発表するJICAボランティア
学校交流に参加したJICAボランティアと高坂さん