平成21年度3次隊・タンザニア派遣予定・村落開発普及員(中日新聞社記者、休職中)
石川尚里さん
JICAボランティア参加の動機は人それぞれ。10人いれば10通りの理由があります。今回は、駒ヶ根市への転勤がきっかけで青年海外協力隊への参加を決意された石川尚里さんに、その経緯を語っていただきました。
協力隊に行く気はさらさらなかったのですが、縁もゆかりもない駒ヶ根市にある中日新聞駒ヶ根通信部に2007年に転勤して、駒ヶ根青年海外協力隊訓練所(駒ヶ根)を取材したことがすべての始まりでした。
私は、医療・教育分野の資格や整備などの技術は何も持っていません。海外に住んだことはなく、国際協力関連の勉強やNGO活動の経験も皆無。どんな国際協力の現場に行ったって、何もやれないと思っていました。
JICA駒ヶ根で派遣前訓練修了式を初めて取材した時、同年代20代の若者たちが大勢、使命感あふれるいい笑顔でいることに衝撃を受けました。さらに、駒ヶ根市周辺で何人もの元協力隊員がU・Iターンし、地域をより良くしようと活動していることや、駒ヶ根市役所やこの地域の人々が、JICA駒ヶ根の縁もあって国際協力活動を発展させていることも、取材で知りました。協力隊への興味が強まり08年、元協力隊員の「医療などの資格がなくても、社会人経験が生かせる要請が『村落開発普及員』という募集枠にあるよ」との一言で、協力隊試験への挑戦を決めました。
直後の募集時期、村落開発普及員の要請に「現地住民のニーズを調査し、現地の行政に伝える橋渡し役」がありました。これなら、人の話を聞いてまとめる取材経験を生かせるのではと応募。その通りの要請枠で合格しました。駒ヶ根に来なければ、考えもしなかったこと。これまで勤務した地域の皆さんたちの様々な活動に、個人として参加させてもらった経験も、選考時に考慮してもらえたのではと勝手に思っています。
現在は休職し、福島県二本松市の二本松青年海外協力隊訓練所で派遣前訓練を受けています。せっかくなら駒ヶ根で訓練して、隊員の視点で駒ヶ根を見てみたかったのですが、派遣される国の関係です。協力隊に参加する機会に恵まれたこと自体を、ありがたく思います。第三者、中立の視点であるべき報道の世界に身をおく者が、当事者として足をつっこむことに異論はあります。今回は仕事で記者として行くのではなく、個人で協力隊員として赴きます。税金を投資してもらう立場にあることは、忘れません。任地でどれだけ役に立てるか分かりませんが、一人の人間が確実に視座を養う機会にさせていただきます。
訓練中の一ボランティアが、僭越ながら、この欄に書かせていただきました。これから協力隊に参加してみたいと漠然とでも考えていらっしゃる方々の参考になれば、そして、休職までにお世話になった各地の皆さんへの感謝を表せたらと思います。訓練を無事に終え、任国で務めを果たしてきます。
二本松訓練所での語学の一コマ