地域の宝を掘り起こす

【画像】小林 美智子さん

元青年海外協力隊員(平成9年度1次隊・ニカラグア・保育士)
小林 美智子さん

飯田市役所観光課職員の小林美智子さん(飯田市出身)は、地域の歴史や文化、自然などをいかして観光客を増やし、地域の活性化を目指す「エコツーリズム」を担当しています。地域の魅力の掘り起こしや、イベント企画などに大忙しの小林さんですが、その経歴はちょっとユニーク。協力隊での職種は保育士だったのです。小林さんが地域づくりにたずさわるようになったきっかけは何か、そこで協力隊での経験がどのように活かされているか、うかがいました。

生まれ変わった廃校舎

初秋の飯田市・遠山郷。日本の秘境100選にも数えられるこの地にある旧・木沢小学校に、笑顔でランナーを迎える小林さんの姿がありました。この日は遠山郷を舞台にしたマラニック(「マラソン」と「ピクニック」を掛け合わせた言葉)大会。旧・木沢小など、コースの途中に設けられたチェックポイントでは、住民手作りの郷土料理などが振舞われ、レースに挑む全国のランナーに一時の安らぎを与えていました。

現在残る旧・木沢小の校舎は昭和7年に建てられ、平成11年の廃校以来、地元の住民が自分たちで管理してきました。今では珍しい木造校舎。そこに目を付けた小林さんは、校舎を活用したイベントなど、地域活性化へのアイデアを提案。飯田市中心部から片道1時間の道のりを何度も通い、住民の協力を得ることに成功しました。「地域が動くには、そこに住む人の気持ちが動く必要があるんです」と小林さん。昭和の趣がそのまま残る木造校舎は、年間4000人以上の来場者を誇る名物スポットに生まれ変わりました。

転機は突然

小林さんが地域資源の保全と活用を融合させるエコツーリズムにたずさわり始めたのは、平成16年4月から。協力隊から帰国して5年が経過していました。この間、保育士として子どもたちと接しながら、悩んでいました。「ニカラグアの子どもと比べて、日本の子どもにたくましさが感じられなかったんです。今の日本の日常生活では、子どもが自ら考え、体験し、感じることが少なすぎて、人間が持つ本来の力が引き出されていないのでは」と小林さん。野外体験プログラムを学ぶなど、生活の場である地域社会で、子どもにとって意味ある体験を増やすにはどうすればよいか考えるようになりました。

転機は突然やってきました。飯田市が新たに立ち上げたエコツーリズム推進室のメンバーに抜擢されたのです。「最初は何も分からなかったから苦しかった」と小林さん。「でも協力隊へ行った経験を認めてもらったと思ったので、『やらなきゃ』という思いもあったし、『協力隊に行ってきたから何とかなるだろう』という気持ちもあった。協力隊に行ってなかったら、プレッシャーに押されていたと思う」と振り返ります。

変化の芽を大切に

隊員時代は子どもの栄養や発達の改善に向け母親や保育士の指導を行うなど、ニカラグア湖に浮かぶ任地の島の中を飛び回っていた小林さん。今、同じスタイルで地域の活性化を目指し、飯田市を駆け巡っています。「外部からの訪問者が増え、地元の住民の意識も変わってきています。その変化の芽を大切に育み、地に足の着いた活動を継続していきたい」と話しています。

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昭和7年に建築された旧・木沢小学校の内部。今では多くの方が懐かしさを求めて訪れます

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ニカラグアの子どもたちに絵本の読み聞かせをする小林さん

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地域の人との共同作業に汗を流す小林さん。これも地域の文化です