おいしいイチゴを届けます

【画像】永井 一弘 さん

農業(元青年海外協力隊員)
永井 一弘 さん

「自分の一生をかけられる仕事をずっと探し求めていました」−。青年海外協力隊員として柔道を指導してきた永井一弘さん(富山県射水市出身)は、活動した大洋州の島国・サモアから帰国後、進むべき道に熟考を重ねた結果、訓練所のある駒ヶ根市でイチゴの栽培を始めました。そんな永井さんの農園を訪ね、就農の経緯や農業の魅力をうかがいました。

モーツアルトが流れるハウスで

春まだ浅い3月。白く染まった中央アルプスのふもとにある永井さんのビニールハウスに足を踏み入れると、穏やかなクラシック曲が耳に飛び込んできました。「常にモーツアルトを流しているんです。イチゴにいいと思って」と永井さんが笑顔で説明してくれます。そのこだわりと愛情をたっぷり受け、丁寧に整備された圃場には、真っ赤なイチゴがたわわに実っています。

気温25度前後に管理されたハウスの中には、約7000本の苗が植えられています。今年は天候にも恵まれ、できばえもまずまずとか。「人との縁を大切にしたい」との思いを込めて命名した永井さんの農園、「おかげやいちご園」には、大粒で甘みたっぷりのイチゴを求めて、あちらこちらから常連客が訪れます。

「人と違った生き方をしたい」

大学で機械システム工学を学んでいた永井さんは、「人と違った生き方をしたい」との気持ちから、小学校のころから親しんでいた得意の柔道をいかし、大学卒業と同時に協力隊に参加しました。赴任したサモアでは、ナショナルチームの指導をするかたわら、少しでも柔道に興味を持つ人を増やそうと、小中学校の授業に柔道を組み込む働きかけをしたり、指導者の育成を手掛けたりしました。

任期を1年延長し、3年の活動を終えて帰国した永井さんは、「手に職をつけよう」と考え、奈良県で藍染の修行に入ります。しかし間もなく方向転換し、国際協力への道に復帰。駒ヶ根訓練所のスタッフや、ウガンダ、ブルキナファソのボランティア調整員を歴任しました。そして2007年12月、「手に職」との夢の実現を目指し、駒ヶ根市のイチゴ農家に弟子入りし、2010年に独立しました。

喜んでもらえるイチゴを

「途上国の生活を経験したことで、生きるために必要な『食』の大切さをあらためて見つめなおしたんです」と農業を選んだ理由を説明する永井さん。「農業って面白いです。食べた人に喜んでもらえるイチゴを作り続けたい。もっとイチゴのことを知りたいです」と意気込みを語ります。12月に実をつけ始めたイチゴの収穫作業は、6月ごろまで続きます。

【画像】

一家3人、力を合わせてイチゴを栽培しています

【画像】

梱包・発送作業をする永井さん。自慢のイチゴを全国へ届けます