安曇野に木工工房を開いた元青年海外協力隊員

【画像】小原 実 さん


小原 実 さん

元青年海外協力隊員の小原実さんは、帰国後、民間企業の勤務を経て長野県に移住し、大自然の中で木工工房を開設しました。独立して約1年半。運営を軌道に乗せようと、毎日張り切って制作に励んでいます。

「家に実りを」

北アルプスのふもとに位置する安曇野市。雑木林や畑が広がる郊外の一角に、小原さんの工房があります。工房の「KAJITU」には、「家の中に実りを育てたい」との思いが込められています。得意な家具はイスや小物類。特にイスは、注文を受けてから顧客の要望に沿って、一つひとつ丁寧に手作りしています。

神戸市出身の小原さんは、自然の中での生活に関心のあった父の影響で木工に興味を持ち、高校卒業と同時に岐阜県高山市で修行生活に入りました。2年後、同市内で木製品の制作会社に就職し、試作品づくりを任される中で腕を磨きました。

技術をいかして

仕事にも慣れてきたころ、「違う場所で技術をいかしたい」と考え始めた小原さん。修業時代の友人が青年海外協力隊に参加したことも影響し、開発途上国でのボランティア活動を志しました。試験では技能五輪への出場経験などをPR。木工隊員として合格した後、西アフリカのガーナへ赴任しました。

ガーナでの任地は、首都から北にバスで約10時間のところに位置する地方都市のタマレ。ここの短期大学で若者を対象に木工の技術指導をしました。現地の技術レベルについて「改善点がたくさんあった」という小原さん。実際に技術を見せながら、粘り強く指導を続け、学生や教員らの信頼を得ていきました。

将来の飛躍に向け

帰国後、やはり協力隊員だった友希さんと結婚。しばらく埼玉県にある会社で働いた後、独立のため信州に居を移しました。「安曇野には独立を目指してたくさんの職人が集まってくる。必要な材料や機械類を扱う業者もあり、制作環境が整っているのが魅力だった」と、安曇野を選んだ理由を語ります。

木工は独立を志した職人のうち、生き残れるのは10人に1人という厳しい世界。入れ替わりの激しい中で、「まだまだはっきりとした手ごたえはない」と言いますが、将来の飛躍に向け、新作の見本づくりに力を入れています。当面の目標としている展示会開催を目指し、妻と2歳の長女と3人で、力を合わせて事業に取り組んでいます。

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ガーナで活動中の小原さん

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ガーナの教え子と

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工房で木工作品の制作に取り組む小原さん