JICA九州では、廃棄物管理分野の研修や青年海外協力隊の派遣前研修で、生ごみのたい肥化技術の一つである「高倉式コンポスト」を紹介しています。
このたび、北九州市の主催する、市民向けの「生ごみコンポスト化容器活用講座」に参加し、高倉式コンポストを作成してきました。
高倉式コンポストの考案者である、株式会社ジェイペック高倉弘二氏の講義。コンポスト化の基本事項として、(1)適した微生物の利用、(2)空気(酵素)を入れること、(3)適度な水分量(40〜60%)、(4)よく攪拌すること、(5)生ごみを小さく切ること、(6)温度が高いほうがよいこと等が説明されました。
講義後、5名程度のグループにわかれ、コンポストの作成にとりかかりました。
まずは、発酵床に必要な「発酵液」を作製しました。
各自持ち寄った、さまざまな発酵食品(納豆、ヨーグルト、甘酒の素(麹菌)、酒粕、キムチ、味噌等)とキノコ類と砂糖、水を容器にいれました。
できるだけいろいろな種類の菌を使用したいため、発酵食品の種類は多いほどいいとのことです。
しかし講座ではどうしても、ヨーグルトや納豆など入手しやすい種類に偏ってしまうため、それ以外のドライイースト、しめじ、えのき、米こうじ、酒かすなどが追加されました。
次に、材料をよくまぜた発酵液を腐葉土に入れました。腐葉土は日本ではホームセンター等で簡単に手に入り、落ち葉100%で水分の少ないものが最適です。腐葉土が手に入らないときは、木くずなど現地で一番簡単に入手できるものを使用します。
この後、発酵液と腐葉土がよく混ぜ合わせられました。
混ぜたものの水分を確認しました。握って、水が指の間からにじみ出ず、ゆっくり手を離したら固まる程度を目途とします。水分の管理は、一番重要なポイントです。
生ごみは水分を多く含むため、コンポストの水分を少なめにしたほうが管理しやすいそうです。水分が多いと嫌気性の菌が増え臭くなること、直接雨水があたらないこと、最低1日に1度かき混ぜ空気を入れること、暖かいところにおいておいたほうがいいこと等の諸注意がありました。
生ごみの分解については、貝殻や堅い骨等は分解しにくいので入れない、でも、卵の殻は簡単につぶれるので小さくすれば入れてもよい等、材料についての細かい注意もありました。
定員を超える30名以上の参加者から非常に活発に質問が寄せられ、高倉氏は講義が終わった後も丁寧に答えられていました。
本講座は翌週も継続して行われ、持ち帰ったコンポストを再度持ち寄って、コンポストの状態の確認、コンポスト容器の作成などが行われました。翌月にはフォローアップ講座が予定されています。
完成品!
高倉式コンポストの開発途上国の適用にあたっては、日本と異なる気象条件や使用材料を考慮し、各国特有の事情を踏まえつつ、試行錯誤を重ねながら展開することになります。
JICA九州では引き続き、開発途上国の環境改善に役立つ九州の環境管理分野のノウハウを紹介していきたいと考えています。