九州エコ通信 2011年8月号

「志布志(しぶし)モデル」、南太平洋へ渡る

志布志市役所 市民環境課環境政策室長 西川順一氏

志布志市を目指して

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一体感が高まったプロジェクトメンバー(写真右端が西川氏)

平成23年度から草の根技術協力事業(地域提案型)「フィジー国を中心とした志布志モデルの推進」が実施されます。7月5日、志布志市本田修一市長及び上村環議長をはじめとした志布志市側調査団、JICAフィジー事務所およびフィジー側関係機関をはじめとした両国プロジェクトメンバーが一同に会して、フィジー国スバ市でキックオフミーティングが開催されました。プロジェクトの目標および活動の共有により、一段と一体感が高まった結果となりました。キックオフミーティング後、多くの人達からこの草の根レベルの協力の感謝とともに「志布志市を目指してごみ分別定着に取り組もう」と言ううれしい言葉がありました。

混ぜればごみ、分ければ資源

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資源ごみをきれいに洗って干す様子

志布志市は、鹿児島県大隅半島にある面積290km2、人口約34,000人のまちです。

本市は、焼却炉を持ちません。平成2年に竣工した一般廃棄物管理型最終処分場に埋め立てていましたが、年々その量は増すばかりでした。

その後、本格的な分別収集を行い、現在は29品目の分別収集を行っています。後には「生ごみ」も分別収集し、堆肥化も行なっています。その結果、一番埋立量が多かった平成10年度に比較して、平成17年度以降、毎年80%以上の埋立ごみを減らすことができました。

「混ぜればごみ、分ければ資源」の行政指導のもと、一人一人の市民が資源ごみをきれいに洗ってゴミ回収に出し、名前を書くことによってごみ袋にも責任を持つという志布志モデルを作り上げていきました。

平成19年度環境省の環境審議会で、上述の志布志市の環境行政の取り組みを発表したがきっかけで、JICAからフィジーの廃棄物管理改善のための協力の要請を受けました。

「志布志モデル」で国際貢献

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何でも入っている黒のごみ袋

フィジーは面積18,270km2、人口約849,000人の島嶼国です。志布志市と同じく、焼却処理施設を持たず、ごみの減量化と資源化が大きな課題となっています。

平成20年、JICA技術協力プロジェクトの「フィジー国廃棄物減量化・資源化促進プロジェクト」の国内委員会に志布志市が参加し現地も訪問しました。黒いプラスティック袋に何でも入れてごみとして出すという光景は、まるで昔の志布志市のようでした。そこで、志布志モデルで国際貢献したいという思いが募り、志布志市が実施団体となり、フィジーを中心とした大洋州の国々のごみ問題の改善のために係る草の根技術協力事業を実施することになりました。

ものを大切に、人を大切に

分別して埋立ごみを減らすという「志布志モデル」で国際貢献できることは、市民にとっても大きな誇りでもあります。

「志布志モデル」は、ものを大切に、人を大切にする行動モデルであり、ただの廃棄物管理の改善ではなく、地域社会全体の改善につながると確信しています。