九州エコ通信 2011年9月号 その1

福岡方式「準好気性埋立構造」の技術移転が本格化 —ベトナム国ハイフォン市—

財団法人 ふくおか環境財団 プロジェクトマネージャー 山手達男 様からのご報告

プロジェクトの概要

福岡市を提案自治体、当財団を実施機関として、平成22年度から、草の根技術協力事業(地域提案型)「ベトナム国ハイフォン市の廃棄物埋立管理技術能力向上支援」を実施しています。

2年目となる平成23年度は、既存埋立場の改善提案として、福岡市と福岡大学が共同開発したごみ埋立の福岡方式「準好気性埋立構造」を技術移転するため、ハイフォン市郊外のDinhvu埋立場にパイロットプラントを建設することにしており、現在、工事中です。

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共同作業で1スパンを完了

このプラントの建設には、福岡市と福岡大学に民間事業者の大成管理(株)を加え、産学官が協力して5名の専門家を草の根技術協力事業の業務従事者として派遣し、先月8月8日から12日まで5日間で現地活動を展開しました。

この専門家チームを後方支援するために、福岡大学のインターンシップ制度を利用して、教員と学生の総員9名も併せて現地入りして支援を行いました。

カウンターパート機関であるハイフォン市都市環境公社(HP URNCO )と共同で、このプラントを建設することにより、彼らに福岡方式の基本構造・仕組みを確かなものとして理解してもらうだけでなく、今後予定されている、福岡方式による廃棄物管理手法についてのオンサイト・トレーニングをより効果的に実施する場としての有効活用が期待されるところです。

なお、この福岡方式は、平成23年7月に、ごみ埋立で発生するメタンガス等の温室効果ガスを削減できる有効な手法として国連気候変動枠組み条約の「クリーン開発メカニズム」(CDM)に認定されています。

現地活動

このパイロットプラントの建設地であるDinh vu埋立場は、10年前にごみの埋立が完了している跡地です。

先月8月上旬に専門家チームが現地に到着するまでには、カウンターパート機関側が、プラントエリアを土堰堤で区画し、基盤整備等の造成工事を完了しておく手筈でしたが、実際に現地入りしてみると、残念ながら、まさに造成工事の最中でした。

さらに、造成中にブルドーザー故障で動かないというトラブルが発生し、その代替機は、直ぐには手配が付かないと言います。幸いにして、隣接地のごみ埋立作業中のブルドーザーを借用することができて、急遽、日本から派遣された専門家がオペレータとなって、ようやく造成工事を完了したのは、派遣最終日の2日前でした。

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故障したブルドーザー

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汚水集水管敷設状況

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ガス抜き装置(ドラム缶)設置

ですが、草の根専門家チームが当初予定していた工事を完了するには、余りにも時間が足りない状況です。

そこで、カウンターパート機関と草の根専門家チームが共同作業により、福岡方式の主要な汚水集水管とガス抜き装置を1スパンだけ設置することとしました。

残りの2スパンは、繰り返しの作業ですので、最終日にワークショップを開催し、今後の工事上の留意点と試験ごみの埋立要領を堤示して、オンサイト・トレーニングの体験をもとに、カウンターパート機関側に工事続行を託して、草の根専門家チームは帰国の途につきました。

今後、プラントが完成する10月頃に再び現地を訪問する予定です。

今後の展開

プラント完成後は、ごみの埋立試験を行い、浸出汚水や発生ガス等のモニタリング評価を経て、福岡方式の有効性を検証します。

この草の根技術協力事業を通して、福岡方式がベトナム各地に普及し国内の環境改善への貢献が期待されます。

以上