北九州市上下水道局海外・広域事業部海外事業課担当係長
石井 秀雄(プロジェクトマネージャー)
北九州市上下水道局は、平成24年3月、近年の政治体制の変化を契機に民主化が進み、経済発展が期待されるミャンマー国の主要3都市(ネピードー、ヤンゴン、マンダレー)を訪問し、水道施設の現状調査を行いました。その際、マンダレー市は、北九州市のこれまでの海外での活動実績や、ミャンマー式寺院(パゴダ)がある北九州市に関心を示し、本市に対して水道分野の技術協力を要請しました。本市はマンダレー市と技術協力協定を締結し、草の根技術協力事業(地域経済活性化特別枠)を活用した「ミャンマー・マンダレー市における浄水場運転管理能力の向上事業」を平成25年12月から開始しました。
平成26年8月末、本プロジェクトのキックオフセミナーを、マンダレー市長を招聘し、本市に於いて開催しました。
マンダレー市は、ミャンマー国のほぼ中央に位置し、人口約125万人を有するミャンマー第二の都市です。またミャンマー国最後の王朝の首都であり、国際空港を有する観光都市であると共に、郊外にあるマンダレー工業団地には多くの工場が進出するなど、観光・産業都市として発展が期待されています。
しかしその水道供給能力は、急速な経済発展と共に拡大する水需要に対して著しく不足しており、昼夜に分けた時間給水を余儀なくされているほか、十分な殺菌ができないため、安全な水の供給も難しい状況です。
事業開始に当り、関係者間でプロジェクトの概要、目標、体制、活動内容、スケジュール等を明確化かつ共有し、円滑なプロジェクトの実施に資することを目的としたセミナーを開催しました。今回は、マンダレー市開発委員会(MCDC)側の意向により、マンダレー市長とMCDC幹部を北九州市に招聘して行いました。セミナーには北九州市上下水道局、MCDC、JICA九州、そして北九州市海外水ビジネス推進協議会会員企業からも多数の出席を頂き、80名を超える出席者の元、盛大に開催され、マンダレー市の現状や課題を共有することが出来ました。
またセミナーの他に、本市水道施設の視察や市内にあるミャンマー式寺院「世界平和パゴダ」訪問などを行い、水道施設の維持管理や水質管理の重要性、また本市とミャンマーとの歴史的な繋がりについても学んで頂き、今後のプロジェクトと両市の友好関係の構築にとても有意義な機会となりました。
北橋健治北九州市長表敬
JICA九州表敬
世界平和パゴダ訪問
キックオフセミナー開催
市内水道施設視察
マンダレー市の夕景
今後、安全な塩素注入設備、適正な浄水場運転さらに水質分析技術での人材育成が実施されます。9月下旬にはマンダレーからの研修員受入も行われます。お互いの信頼関係を構築しつつ、マンダレー市が抱える問題を解決し、両都市間の交流が深まることが期待されます。