九州エコ通信2014年11月号

第3弾 「志布志(しぶし)モデル」、バヌアツへ渡る 種はまけた!

志布志市役所 市民環境課長 西川 順一(にしかわ じゅんいち)氏

志布志市は、2013年12月からJICA草の根技術協力事業 地域経済活性化特別枠「サモアを中心とした大洋州における志布志モデルの推進」を展開中です。
本市は、廃棄物管理において、焼却施設なしで市民と行政が協働して廃棄物を「分別排出」し資源化し、埋立ごみを80%以上減量化し、さらには衛生面の改善も行っています。この経験と技術を伝えようとしています。
これまでフィジーを中心としてお手伝いして来ましたが、2013度からサモア国とバヌアツ国を中心に本市の取組みを行っています。
今回は、志布志市での研修員受入にて発表されたアクションプランの実施状況の確認とフォローアップのため、2014年9月26日から10月5日までバヌアツ国に行ってきましたのでその報告をします。

1.82の島からなる美しい国

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美しい国バヌアツ(ポートビラ市)

バヌアツ国は、82の島があり60ほどの島に人が住み、全体で約25万人住んでいるとのこと。バヌアツ国全体がリゾート地といえるような美しい国です。

2.僕のまちを見に来て!

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ポイ捨てごみのないルーガンビル市

9月26日にエファテ島にある首都ポートビラ市に到着しJICAバヌアツ事務所と打合せをした後、翌日、飛行機で1時間ほどのサント島ルーガンビル市に行きました。
今年7月に本市に研修に来たルーガンビル市職員のレイさんが「バヌアツに来るのならば、是非僕のまちにも来て」とのことだったので、急きょ行くことにしました。
空港から市中心部にある市役所まで車で移動しましたが、道路にはほとんどポイ捨てはなく、きれいな町でした。

3.綺麗さは価値を高める

レイさんの話によると「今年の4月から、毎週水曜日の午後、市役所職員でごみ拾いをしている」とのことでした。当日はサント島をきれいな島にしていこうという趣旨の「クリーン・サント・フェスティバル」が行われていました。ルーガンビル市の環境美化に対する取組みに感激するとともに市職員の取組みがきっと市民へも伝播していると思いました。
この綺麗さとこの取組みはサント島の価値を高めていると感じました。

4.「分別」への気づき

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分別されていないゴミが一杯のブッファ埋立処分場

今のところバヌアツ国は、ほとんど分別は行われていません。最終埋立処分場を視察しましたが、分別する以前の我が志布志市の最終処分場そのものでした。
ポートビラ市、ルーガンビル市の職員、ホテル関係者、収集運搬業者、マーケット管理者などにお会いし、本市の取組みを紹介しました。
行政マンには「足で稼げ」と、事業者には「行政と協働して」と話しました。そして「志布志市は特別な技術は何もない、ただ市民と事業者と行政の協働した取組みだ。皆さんも出来る」と話しました。

5.ポートビラ埠頭にて

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ポートビラ埠頭

10月3日、港を視察しました。バヌアツに入ってくるコンテナはすべて「Full」だけど、出て行くコンテナは「Empty」とのこと。大洋州では、「ダンボール、プラスチック、ペットボトルなど分別しても自国で処理するところがない」との声も聞こえてきます。分別したものを第3国に持ち出せないかとも思いました。

6.種は蒔けた!

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フレッシュウォーター地区にてコンポストデモンストレーション

パイロット地区も設定しました。志布志市の取組みを紹介した集会後、パイロット地区のリーダーが元気よく「みんな分別排出をしていこうね」と地区の人に話していました。
今回たくさんの方にお会いし、私たちの取組みを紹介しました。「混ぜればごみ分ければ資源」への種はまけたのではないかと思っています。

7.国づくりは人づくり

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ポートビラ市役所の関係者と集合写真

志布志市の仕事は、「人づくり」だと思っています。
分別排出の重要性に行政マンが気づき、事業者が気づき、地域のリーダーが気づきそして市民が気づけば、埋立処分場が変わり、まちが変わりそして国が変わると思います。志布志市はその国づくりの力になりたい。
また今回も多くの海外青年協力隊員に会い協力をいただきました。彼女らの志に改めて敬意を表します。