九州SDGs通信2019年6月号 「2030 SDGs」カードゲームを開催致しました!

2019年6月7日

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はじめにJICAのSDGsについての取り組みを説明しました。

JICA九州では、研修員受入事業に関わる外部の企業や団体および官公庁の方々に対し「研修員受入事業説明会を4月24日(水)に開催いたしましたが、第2部としてカードを使用してSDGsの理解を深める「2030 SDGs」というカードゲーム型のワークショップを実施いたしました。
これは「SDGsってなに?」や「なぜ今SDGsが必要なの?」といった疑問を、ワークショップに参加することで2030年の世界をシミュレーションで体験しSDGsの本質を理解できるゲームです。
具体的には複数のチームに分けて、それぞれに与えられた別々の価値観(例:お金が一番大事なチームや環境保全が一番大事なチーム等)のもとで、目標達成に向けてチームメンバーが一致団結し白熱したゲーム展開の中で楽しみながら、「SDGs」を体感できるものです。
今回、ファシリテーターを務めて頂いた株式会社エックス都市研究所の八百屋さやかさんにSDGsについてお話を伺いました。

「SDGs2030カードゲーム」のファシリテーターになったきっかけを教えてください。

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ゴールに向けて戦略を練ることも必要です。

昨年あたりから弊社内でもSDGsを意識した話題が徐々に上がるようになってきており、何か社内でもSDGsに対するアドバンテージが必要ではないかという議論が上がっていました。その当時、SDGsについてウェブ検索を行うと、一番上にSDGsカードゲームを開発した「一般社団法人イマココラボ」のサイトが表示されており、周囲でもカードゲームの参加者が出てきている中、上司に「SDGsカードゲームのファシリテーター養成講座を受講してみてはどうか?」と言われ、2018年10月に講座に参加しました。
このカードゲームは2016年に開発されて以降、国内外ですでに5万人が参加しており(2019年4月現在)、人々のSDGsへの関心の高さが伺えます。

JICA海外協力隊員のご経験もあるそうですね。

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ネパールにて家庭向け生ごみ削減のためのトレーニングを行う

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ネパールにて生ごみ堆肥化技術の移転を行う

協力隊では「環境教育」で応募しました。環境分野に関心を持ったのは、小学生のころの公害学習で身近な河川や海、大気の汚染が生物に与える影響を学んだことがきっかけでした。その頃、自宅からの排水も河川に垂れ流しであることに気付き、ここから自分の生活が環境汚染や森林破壊などの環境負荷に関与していることに気が付きました。「これは何とかしないと」と思い、環境のフィールドに進みましたが、何しろ環境は世界規模で考える必要がある分野ですので、日本だけで取組んでも解決しない、海外の環境問題にも取り組みたいと考え、青年海外協力隊に応募しました。
協力隊では、2007年から2010年の間に2年半ほどネパールへ派遣されていました。現地では廃棄物問題が深刻になってきており、配属先からは廃棄物管理に係る環境教育の要請を受けていました。まず手始めに、ごみの組成調査やごみの分別教育、市内美化活動などを実施していましたが、特に、ネパールの家庭から出るごみのうち7割は生ごみであったため、生ごみに焦点を当て、家庭で気軽にできる生ごみ堆肥化技術の導入を進めました。この技術は北九州発の技術でしたが、ネパールのような材料が入手しづらい環境でも、現地にあるもので十分適正化できる柔軟性があり、スムーズに導入することができました。
この協力隊時代の活動は、SDGsを考える中でも生きており、例えば、廃棄物の課題に対する活動は、主にSDGsのゴール12番(つくる責任つかう責任)に寄与しますが、課題の要因に、1番(貧困)や4番(教育)、カースト制度の残るネパールでは10番(人の不平等)も関わり、これらの課題への考慮も活動の中では必要でした。SDGsのゴール達成において、各ゴールとの関係性を考慮し、包括的に取り組む必要があるということについては協力隊経験を踏まえると理解しやすかったですね。

八百屋さんが考えるSDGsとはなんでしょうか?

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ゲーム終了後、SDGsについて様々な意見が交わされました。

「一人一人の考えや行動が世界に影響を与えている」ということを全ての人が理解することだと感じます。「自分の行動がその先の何につながっているのか?」というところまで視野を広げて考えることがSDGs達成の第一歩ではないかと。
カードゲームに参加する方には「視野を広げることの大切さ」が伝わればいいなと考え実施しています。今までSDGsカードゲームに参加して頂いた方からは「ゲームをすることで世界とどのように繋がっているのかが分かった」「自分の行動が世界のインパクトを与えていることが目に見えた」という感想がよく聞かれています。
現在は、「SDGsに関心が高い、もっとSDGsを知りたい」といった方々がこのゲームに参加されていますが、今後は「SDGsは自分には関係ないのでは?」と感じている方々にも、広くSDGsの意義を知って頂きたいと感じ、そのような方々に「SDGsを知るきっかけ」を創ることが私の使命だと思います。SDGsの理念である「誰一人取り残さない-No one will be left behind」は、世界中あらゆる人々における課題を解決するという意味もあるかと思いますが、一方で、ゴール達成のために、世界中のあらゆる人が関わることの重要性を示しているのではないかと感じています。

(編集後記)
JICA九州では引き続き、SDGsを「自分事」として理解し、推進していけるよう、様々な活動を展開していきたいと思います。

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