2017年1月30日
去る12月5日から12月16日にかけて、タンザニアとエチオピアに訪問し、研修員の帰国後の活動を視察しました。日本とは異なる環境の中で、どのように日本での学びを活動につなげているかを確認することが目的でした。帰国した研修員との面談では、目に見える成果と見えない成果があることに気づきました。
【タンザニア】
経済の中心地であるダルエスサラームは活気があり、車の渋滞も多く、経済成長を遂げている様子が見られます。一方、30分も車を走らせるとのんびりとした風景の中に、各種工場が点在しており、工場内では品質・生産性向上のために日本式カイゼン活動に取り組む企業も出てきていました。
林立する高層ビル
(ビジネスの中心地ダルエスサラーム)
郊外ののんびりとした風景
石けん工場のカイゼン活動の成果
アントニアさんは中小企業振興公社に勤務し、地方の中小企業や生産者の支援に奮闘していました。マリアムさんは産業貿易投資省で、農産物を中心に海外輸出につながる研修に励んでいました。
「日本の研修で情報を広く共有することの重要性を学んだ。生産者と展示会を開く際、展示場は商品を販売するだけではなく、生産者の情報交換の場としても活用し、生産者同士の学びを促進するような仕掛けを行っている。商品を多様化するアイディアも出し合い、商品開発に挑戦している」と、力強く、頼もしいアントニアさんは健在でした。
アントニアさん(2013年来日)
資材の共同購入、共同発注など、地方の零細企業の支援に取り組んでいます!
マリアムさん(2015年来日)
有機野菜生産農家の組織化を推進。輸出促進のためにセミナーも開いています。
【エチオピア】
エチオピアは木陰に入ると涼しく過ごしやすい気候でした。首都のアディスアベバでは、大通り沿いに建設中のビルが多く目立ちました。輸出では繊維や皮革産業が重要な位置を占めているそうですが、民間企業のビジネス成長は、まだ道半ばにあるようです。日本の技術協力で、羊皮(注)を使ったブランド商品が立ち上がり、日本でも発売が開始されています。
(注)羊皮を使ったブランド商品「エチオピアン・ハイランド・レザー」
建設中のビルが立ち並ぶ
色も鮮やかな羊や牛皮の製品
皮革の靴製品も豊富
エチオピア貿易省では、ウェインシャットさん(女性)、エジュグさん(男性)と面談しました。ウェインシャットさんは日本の研修で得た知識を活かし、青果物や農作物のマーケティング担当者に研修を行い、今後は生産グループ向けにも実施するとのことでした。「日本に来る前は事務的な業務だけで、自分が講師となり研修を主導する立場ではなかった。日本で多くのことを学び、JICA研修の経験は私に自信を与え、人生を大きく変えた。」という言葉が印象的でした。エジュグさんからも日本での研修は貴重な経験だったと感謝の意が述べられました。
ウェインシャットさんとエジュグさん(2015年来日)
一緒に研修を受けた他国の研修員は大切な仲間です。今もメールで繋がっています。
ムルハビットさん(2016年来日)
日本の中小企業大学校のような取り組みを実施することが決定しました。
最後に、中小製造産業開発庁から参加したムルハビットさんは、「上司や同僚の協力を得て日本のような中小企業支援の取り組みを、組織内で実施することになった」と、嬉しそうに話しました。若者の起業家育成を大学と連携して行うそうです。
日本で得た知識もとに自国に合うように制度や計画を整え、実践している様子を確認できたことは大きな成果でした。今回、訪問できなかったアフリカ地域の研修員も、各地で日本での学びを活用していることでしょう。さらなる活動の広がりに期待しています!
以上