今月のオススメ図書

今月は、新着図書から2冊をご紹介します。

『科学技術大学をエジプトに 砂漠の地で始まる大学造り、紡がれる人々の「物語」』 岡野貴誠 著

JICAが途上国の発展のために行ってきた事業を振り返る「プロジェクト・ヒストリー」シリーズ。第30巻となる本書では、高等教育に課題を抱えるエジプトにおいて、産業・科学技術人材の育成を目的とする「エジプト日本科学技術大学(E-JUST)」をエジプトと日本の協働で創設した軌跡をたどります。広大な砂漠でのキャンパス建設、「アラブの春」によるJICA専門家の国外退避、学長をめぐる不正資金疑惑など、幾多の試練に見舞われながらも、今やアフリカ有数の総合大学に成長しつつあるE-JUST。その設立と発展に尽力した著者がプロジェクトを通じて考えた「共創時代の新しい国際協力のかたち」とは。開発協力のあるべき姿を考える上で示唆に富む一冊です。

『電車は止まらない』 松本時代 著

加速する経済成長で近年注目を集めるバングラデシュ。都市開発も急速に進み、社会や人々の暮らしは変化の只中にあります。本書は、世界中を放浪しながら写真作品の制作を続ける著者が、バングラデシュで列車の屋根に上って無賃乗車をする主に「貧困層」と呼ばれる人々を撮影した写真集。バングラデシュを初めて訪れた2018年から1年半という時間をかけて自身も400回近く列車の屋根に乗り、未来に向かって逞しく生きる現地の人々とともに過ごした日々を、臨場感あふれる写真とエピソードで振り返ります。法規制に伴い、現在都心部では、列車の屋根に人の姿が見られなくなりました。変わりゆくバングラデシュの側面を窺うことができる一冊です。