福岡県立小倉西(こくらにし)高等学校 英語科・広報担当教諭
横山昭子(よこやま あきこ)さん
福岡県教育委員会では、教員に幅広い知見や豊かな社会性を育むために、学校以外の民間企業等における長期社会体験派遣研修を実施しています。
今般、その制度を利用して、小倉西高等学校横山先生が7月から3ヶ月間JICA九州で研修事業、市民参加協力事業を通じて、九州で行う国際協力を体験されました。
話は2001年にさかのぼりますが、私の高校時代の友人を通じて、南米やアジアからJICA九州に来られた研修員さんらと一緒に北九州博覧祭に行き、楽器を演奏したりして交流をし、その後JICA九州の施設を訪れたことがきっかけです。JICAFEで民族料理も食べることが出来、研修員の福利厚生のためのビリヤードやカラオケルームもあってとても素敵な施設だと思ったのを覚えています。(私の高校時代の友人は皆、国際センスが豊かで、国際結婚をした人や国際関係の仕事をしている人、海外に在住している人などがいます。)
今回、研修先を自身で決められるということで、昔から憧れていた国際的な仕事に関わりたいということと、教育現場では今後ますますグローバルな人材の育成が求められるということで、是非JICA九州での研修を通して視野を広げたいと思い選定させていただきました。
7月の研修開始後間もなく「魔法のバケツ」で知られる高倉式コンポストのフォローアップ会合に関する業務を担当しました。素人の私にできるのか不安もありましたが、難しくもやりがいのある仕事に挑戦させていただけて良かったです。会合の日程の中で、参加国の行政官や市長と親しくなり、環境問題の解決に向けて何をすべきか等についての話を色々とできたことで、私自身の環境問題に対する姿勢も変わりました。日頃直接お会いする機会のない北橋市長表敬訪問に同行させていただいたのも光栄な機会でした。
また日系研修や消火技術研修などで海外から来た研修生と話す中で、皆が「自分の社会、国をよりよくしたい」という使命感を持って日本へ研修に来ていることがわかり、利他の精神に感銘を受けました。海外協力隊に行かれる方もそうですが、他人のために行動できる心が美しいと思います。JICA職員の皆さんの「開発途上国の役に立ちたい」という崇高な精神と人間性の豊かさにいつも背筋が伸びる思いでした。
JICA九州が手掛ける数多くの研修はそれぞれの国の実態に合ったものなのですが、さらにより良い研修を提供するための改善・工夫の姿勢に感銘を受けました。また様々な業務に関わり、また研修に出席させていただいたことで視野が広がりました。環境・経営・地域活性・国際交流などについても理解が深まりました。
私は高校では広報担当なのですが、JICA九州のパンフレットやプレスリリースなどは勉強になりました。「わっしょい百万夏まつり」にチーム「JICA九州」として百万踊りに参加した際には、所内の案内文作成に関わらせていただきました。毎週金曜日に行われていた「民族衣装でクールビズ」はテレビや新聞でも取り上げられましたし、反響も大きかったです。
たくさんありすぎてまとまりませんが、その中でもKITA(北九州国際技術協力協会)の三木義男コースリーダーの研修にあった、「働くこと」について考えるワークショップを通して、生徒に健全な勤労観を身に着けてもらいたいと思っています。またJICAでは研修の最後に研修員が自国へ戻って取り組むべき事項としてアクションプラン作成を行っていますが、このような自ら考え計画を作成するような技術は問題発見・解決能力の育成に役立つと思います。それから視野を世界に向けるための写真展や講演やプログラムなどを通して、グローバルセンス、行動力(特に利他)などを生徒に身に着けてもらいたいと思っています。若い世代が将来の社会、日本、世界を担っていく訳ですから、私たち教員の責任は重大であると思っています。
JICA九州には小倉西高校のOB・OGが4名もいらしたことに驚きました。西高の今昔について色々と話が弾み、教育現場への関心の高さもわかりました。この研修をきっかけにJICA九州と小倉西高校のつながりが生まれたと感じています。研修は終わりましたが今後とも交流を持っていきたいと考えています。生徒に英語を身につけてもらうのはもちろんのこと、生徒が世界へと視野を広げ、行動するきっかけを提供できるよう、私の立場でベストを尽くしていきます。
*******************************************************************
小倉西高等学校では、英語科・広報担当として業務を行う横山先生。
JICA九州という国際協力のフロントラインで経験した体験を基に、これから高校生のグローバル人材としての育成に力を発揮してくれることでしょう。
横山先生の今後のご活躍を期待しています。