日本との貿易事業で母国(セネガル)の発展に貢献したい

【写真】BADJI Abaさん(ダイチ)JICA研修員(ABE 2015 第2バッジ・立命館アジア太平洋大学)
BADJI Abaさん(ダイチ)

今回の「人」明日へのストーリーは、JICAの長期研修員(ABEイニシアティブ)として立命館アジア太平洋大学国際経営学部の大学院で修士号を取得されたバジ・アバ(日本名:ダイチ)さんです。ダイチさんは、日本のクロネコヤマトを事例としたサプライチェーンの品質管理を研究し、卒業後は東京でのインターンシップを終え、現在は中部アフリカのガボンで働きながら母国セネガルと日本の貿易事業の準備を始められました。
そこで、今回ダイチさんに大学院での研究や日本での生活について、また、現在や将来の活動についてお話を聞きました。是非、ダイチさんの活動模様をご覧ください。

ワールドカップで日本でも注目を集めたセネガルですが、母国セネガルについて教えてください。

ガボンにて農作業を行うアバさん

セネガルは北にモーリタニア、東にマリ、南にガイアナ、西に大西洋と接している西アフリカの国です。
また、面白いことにセネガルの内部にはガンビアという小さな国があり、ガンビアを囲む形で国土を形成しています。
セネガルは、フランス語を公用語としていますが、人口1500万人のうち40の民族がそれぞれの言語を話すため、40以上の言語が話されています。主食は米です。

JICAの長期研修員として日本で研究をしようと思った理由と大学での研究内容を教えてください。

私は仕事のネットワークを広げるために日本人と日本の市場を調査したいと思ったことと、このマネジメントの研究は私の経営スキルの向上に役立つと思い参加しました。
私の研究は日本のクロネコヤマトの「ヤマト運輸株式会社」を事例とするサプライチェーンの品質管理でした。
この研究をするにあたり、私は三つの目標を掲げました。一つ目は、日本の物流環境の特徴を理解すること、二つ目はクロネコヤマトのような会社がどのような品質を作るか理解すること、三つ目はそれをどのように現場で応用するかを理解することです。
この研究を通じ「適切な内容を適切な方法で行う」(doing the right things and doing the things right)という単純なことが品質を保つために大切なことだと理解しました。
そして、その根底におもてなしの心があるからこそ、品質の向上へとつながっているように思いました。
そのため、クロネコヤマトの「時短の実現」、「ホスピタリティ」、「適切なものを適切な人に届けること」こそが、お客様からサービス品質を高く評価されることに繋がるのではないかという研究結果となりました
。この研究によって私は自らの事業を行う際に品質の高さを求めるようになりました。

現在はどのような活動をされていますか?

最近始まった鉱山事業の現場で同僚と仕事を行うアバさん

私は現在中部アフリカのガボンで旅客関連の仕事に就いています。
この仕事は、旧友を通して見つけることができました。友人は、私がアフリカの日系企業の仕事を探していた時に私が良い職を見つけるまでガボンで働かないかと提案してくれました。
そして今年の一月からさっそく仕事を始めました。ここは地方の家族経営の会社で主に旅客やロジスティックスの仕事を扱っています。
最近では、鉱山や公共インフラ施設に関する事業も始まりました。
そして、私はこの会社の南東部のオフィスで経営の仕事を行っています。この仕事はキャリア形成というよりは、私が将来ビジネスを始めるための資金形成の要素が強いです。

将来のビジョンを教えてください。

ガボンでの旅客事業

私は、2019年12月までに少なくとも2つの日本企業とセネガルの輸出入の取引ができる会社を立ち上げたいと思っています。
なぜなら、私は今まで多くの海外経験がありビジネスや経営を行うことはとても情熱的なことだと感じているからです。
また、私は外国人や異なるバックグラウンドを持つ人と良い関係を構築することが得意であると気づきました。そのため、国際的なビジネスを行うことが私の人生で何よりも価値のあることではないかと考えました。
また、私の母国であるセネガルの地方の状況を考えると、私がビジネスをすることによって地方のコミュニティーに影響を与え、町を大きくすることができると思っています。
私はもっと社会のために、人々のために、常に何か貢献できると思っています。
そのため、まずはアフリカにおける農業や医療機器の流通事業などに投資を行い資金を集めようと考えています。
また、不動産や教育分野への投資も計画しています。これらの投資により事業資金を集め、将来日本とセネガルで輸出入事業を始めていきたいと思います。

二年間、日本に住んでいて何か印象に残ったことや思い出はありますか。

日本での思い出はたくさんありますが、その中でも二つ印象に残っていることがあります。
一つは、日本で参加したインターンシップの時のことです。私は東京でインターンを終え会社を去る時に当時の同僚が泣きながら見送ってくれたことが今でも心に残っています。それは私にとって非常に感動的な出来事でした。
二つ目は、寿司屋、信頼できる食べ物、温泉です。私は、これらの日本のすばらしい文化を何度も何度も経験しました。
日本は、積極性がある強い国だという印象を持ちました。日本には食品事業や農業事業、技術などの過程を学び、展開させるための環境が整っています。
私は、将来日本へ会社経営者として再び訪れたいと思っています。

取材/文章:JICAインターン 田中 映充(立命館アジア太平洋大学)