別府市立朝日中学校教員
大津留美紀さん
記念すべき第一回目のヒューマンストーリーにご登場いただくのは、大分県別府市立朝日中学校の家庭科の教員をされている大津留美紀さんです。
大津留美紀さんは、2007年度教師海外研修に参加し、九州各県の小中高の教員10名と一緒にシリア(正式名称:シリア・アラブ共和国)に約10日間滞在。シリアにおけるJICAの技術協力の現場や青年海外協力隊・シニア海外ボランティアの活動現場を視察し、帰国後はシリアでの経験を学校現場に還元されています。
教師海外研修を通じて、感じたこと、そして、それを現在、どのように教育現場で活かしているのかなど、西川職員からインタビューしてみました!
(西川)2007年の教師海外研修に参加しようと思われたきっかけは何だったのですか?
(大津留さん)以前から、青年海外協力隊やODAなど国際協力に興味を持っていました。中東の国シリアは、個人ではなかなか行けないということもあり、ぜひ、参加して、仕事に活かしたいと思い、申し込みをしました。
(西川)シリア滞在中で、一番印象に残っていることは何ですか?
(大津留さん)中東=怖い という先入観がありましたが、人々が明るくて、穏やかだったことが印象的でした。また、かつては文明の栄えたところが他国からの援助を受けていること。そして、また、それとは反対に近隣国からの難民を受け入れているといったところも印象的でした。
(西川)シリアでの研修を終えて、生徒に「これは伝えたい!」と思ったことは何ですか?
(大津留さん)中東=怖い、イスラム教=怖いといったイメージを払拭したいと思いました。また、生活環境の違いで自分たちとは違う価値観やたいへんさがあることと、国や環境が違っても『大切なもの』など同じものもたくさんあることを伝えたいと思いました。
(西川)研修後、シリアで見たこと、感じたことなどをどのように生徒に伝えましたか?
(大津留さん)まず、クイズなどをだしながら映像や音などを使い、視聴覚に訴えながら、わかりやすく伝えました。次に自分たちの大切なものとシリアの方々の大切なものを比較して、違いや同じことに気づく参加体験型の授業を行いました。また、難民の存在や奪われた権利について、自分たちのできることから理解させるような授業を行いました。そして、まとめに、世界のためにできること、また、できるようになってほしいことについて、アクションプランシートを使って生徒たち自身に考えさせました。授業のほかに、シリアのことだけでなく、出前講座でアジアアフリカで活躍された青年海外協力隊OBに来ていただいたり、アフリカに国際協力に行った青年医師の歌を進路学習で取り上げたり、人権平和集会に、留学生を招いてパネルディスカッションを行ったりしました。
(西川)そのときの生徒たちの反応はどうでしたか?
(大津留さん)見て、聞いて、出会って、自分の考えと比べて、今までの価値観にはないことに気づき、驚きをおぼえた生徒がたくさんいました。疑問を感じたり、探究心を刺激したりすることができたのではないかと思います。
(西川)開発教育を通して、生徒たちにどうなってほしいと考えていますか?
(大津留さん)世の中のこと、自分とつながる様々なことに興味感心を持ってほしい、自分の、周りのいのちを大切にしてほしい、そして、できれば世の中の幸せをひとつ増やす選択を心がけてほしいと思います。これは、私自身もこうありたいと思っていることです。
毎年、実施している教師海外研修事業。九州で活躍する多くの教員の方々が、実際に途上国を肌で感じ、それを、様々な形で生徒に伝えてくださっています。これをきっかけに、大津留さんのいう、「世の中の幸せをひとつ増やす選択」が増えていけばいいですね。
パルミラ遺跡
CBR(障害をかかえた子どもの支援施設)を訪問
道徳「大切なもの」生徒からも質問がたくさん出ました。
道徳「大切なもの」の授業を行っている様子