chaokaoプロジェクト コーディネーター
森山 美代(もりやま みよ)さん
長崎では国際協力って、特別な人達がアフリカで井戸掘っているとか病気の赤ちゃんを介護しているという印象が強いんです。もう少し、肩ひじ張らないで、さりげなくできる国際協力のやりかたもあることを長崎の人に伝えたいんです。
主宰の高野繭子さんのこの一言がきっかけで昨年5月から始まった、国際協力×アート×フェアトレードを通した、国際協力啓発プロジェクト、chaokao(山のひと)が終了して1ヶ月。このプロジェクトをコーディネーターとして陰で支えてきた森山美代さんにインタビューしました。
元々、主宰の高野さんがやっているお店「プラウマイ」にお客さんとして通っていたときに誘われたのがきっかけです。プラウマイは、大好きなお店で、いつも購入する物を絞るのに困ってしまいます。そうやって私が悩んでいると、高野さんがお茶を持って現れます。私はお茶を頂きながら、高野さんとゆっくりお話をし、だんだん買いたい物も決まってきて、購入ということになります。何でもじっくり選びたい私にとって、プラウマイはまさに理想的なお店です。
以前、私はレジでお金を払うときに高野さんから「そんなに無理して買わなくてもいいですよ」と言われたことがあります。高野さんはあまり商品を売ろうとはしていないように見えるのですが、お店に行くといつも新しい商品が置いてあり、ディスプレイも少しずつ変わっている…商品の回転が早いんです。本当に不思議なお店です。
ある時は100円の小物のすぐ横に2万円位する天然石の指輪が同じように置いてあり、驚いてしまったこともあります。高野さんにとって、100円の小物も2万円の指輪も同じプラウマイの商品だから、扱いにも差はないのだなぁと思い、ほのぼのとした気持ちになりました。
私はプラウマイに行くことによって、自然体の高野さんからいつの間にか多くの癒しをもらっていました。そんな高野さんが主催するチャォカォプロジェクトだからこそ、私は今回、全力でサポートしたいと思ったんです。
初めに、私はチャォカォで、コーディネーターというカッコイイお名前を付けて頂きましたが、専門的なことは何もしていません。
ただ、憧れの作家さん達からいろんなお話を聞いたり、作家さん達が行うワークショップに参加したり、個展を見に行ったりしたことは、私の人生において、とても貴重な経験となりました。
私にとって、どの作家さんとのやり取りも本当に印象深いのですが、いくつか挙げるとしたら、まず高野さんの陶芸の先生でもある綿施さんとのやり取りでしょうか。
綿施さんのアトリエでは、いろんな話を伺うことができました。私が「本物はたくさん見るべきですか?」と尋ねたときには、「世間一般に言われている名画が自分にとっての名画とは限らない。自分にとっての名画を見つけるために、いろんな作品に触れるといいですよ」と教えてくださいました。
それから、画家の桑迫さんとのやり取りもとても印象に残っています。長崎県美術館での桑迫さんの個展で初めて紙芝居を見たとき、私は自然と涙が出てきました。
まだこれはほんの一部で、他の作家さん達ともいろんな交流をさせて頂きました。本当にいい経験をさせて頂きました。
最初、高野さんを全力でサポートしたかったと書きましたが、誘われてからしばらくは、考えるうちに私にできるのだろうかとだんだん怖くなってきて、何もしないうちからやっぱり辞めようかなと思っていました。そんな時、たまたま休みの日に、チャォカォのアートディレクター兼アーティストの山崎さんとばったりお会いし、それまで遠い存在だった山崎さんから「これからよろしくね、一緒に頑張りましょう」とお声を掛けて頂いたことがとても嬉しくて、やってみようという気持ちに変わりました。実際に行動するときに最も身近で支えてくださったのは、カメラマンの吉村さんでした。脚を悪くされていたのに、遠方の作家さんの所まで車を運転してくださり、時には優しく、時には力強く私の背中を押してくださいました。
いろんな方との繋がりができたことと、作家さん達と連絡し合ううちに、「いつもありがとうございます。お世話になります。」というお声を掛けて頂けるようになったことが、嬉しかったです。
今まで消極的に生きてきましたけど、今回チャォカォプロジェクトに最後まで参加して、私でも続けることができたと、少し自信がついたように思います。いろんな方のお話を聞いて、これからやってみたいと思うことも増えました。
それから、私は今までボランティアの経験はゼロでしたが、プラウマイや高野さんが大好きだったから参加しようと思ったので、きっかけってすごく大事だなぁと思いました。今回このプロジェクトが、アートの視点からフェアトレードやボランティアについての考えを広めていったことは、とてもいいやり方だったと思います。それと、私は今回いろんな人に感謝しながらプロジェクトに参加できたのですが、この気持ちって結構大事だったんだなぁと後から分かりました。
自分だけがしてあげているという気持ちがあると、どうしても苦しくなってしまうと思います。講演会でも学びましたが、ボランティアで大事なことは、どちらか一方が援助していると思うことではなく、お互いが持っている物を出し合って協力しあっているのだという気持ちを持つことなのだと思いました。高野さんも「そういう気持ちって、言葉がなくても相手に伝わるもので、実際の国際協力の場でも、それが上手くいくかどうかに関係するとても重要なことなんですよ。」と教えてくださいました。
山岳民族の方には今回一番感謝しなければいけません。
高野さんが民族の素晴らしい手仕事に出合わなければ、お店を開いてないかもしれませんし、今回長崎の様々なジャンルの方が参加したチャォカォプロジェクトもありませんでした。
講演会では、昔ながらの素朴な生活をしている山岳民族の村にも現代文明の波が押し寄せていることを知りました。その便利さにどっぷり浸かってしまっている私が言うのは勝手なことかもしれませんが、一長一短があるので、よいものは受け入れながらも、どうかご先祖様から代々受け継いできた伝統や技に誇りを持って、それらを絶やさないでほしいと思いました。
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森山さんはとてもほんわかした雰囲気をお持ちの素敵な女性ですが、たくさんの調整をやり遂げ、チャォカォに対する思いを語る横顔からは、芯の強さを感じました。
チャォカォは次のステージに向かって、新たに進んでいくとのこと。これからの森山さんの活躍に期待しています。
今日はどうもありがとうございました。
聞き手:M
活水大学 大チャペルでの講演会場
ファッションショー わ゜゜
市民モデルの方々と「アカリ」
仕事中の森山さん