研修の成功を握るカギ!研修監理員の役割

【画像】佐藤都茂子(さとうともこ)さん

財団法人日本国際協力センター(JICE)九州支所研修監理員
佐藤都茂子(さとうともこ)さん

JICAの研修には、研修員をはじめ、実際に研修を運営する研修委託機関、民間企業・病院等の見学先、研修実務の責任者であるコースリーダー、講師といった非常に多くの方々に関わっていただいています。このためJICAは、研修の円滑な実施のために、研修監理員(コーディネーター)を配置しています。
コーディネーターには、研修の引率・同行、通訳、文化や知識レベルの異なる研修員の理解促進のための働きかけやファシリテーション等々、実に多くの業務を担当していただいており、研修の成功のカギを握る重要人物と言っても過言でありません。

今回は、地域開発分野の研修を中心にご活躍されているJICE九州支所研修監理員 佐藤都茂子さんにお話を伺いました。

Q コーディネーターになったきっかけは?

通訳の勉強中、既にコーディネーターをされている知り合いの方に声をかけていただき、1999年8月にJICE九州支所に登録をしました。医療や工業に関する技術も専門性も持ち合わせていないので、何も世の中に貢献できないと思っておりましたので、その知り合いからコーディネーターの仕事について聞いた時に、語学の面で自分も世界の役にたてるかもしれないと思いました。

Q 初めて担当した研修は?

2000年に大分県が実施した、ASEAN対象の地域振興に関するコースです。
当時大分県の一村一品運動が、ASEAN中心に世界各国で非常に高い関心を集め始めていました。私は大分県人ですが、「一村一品運動」は各地域が焼酎や漬物などを作るという活動だという認識しかありませんでした。しかし、研修時に、当時の提唱者の話や地域の実践者の話を聞き、また、「一村一品」が大学の先生方により様々な角度から研究されていることを知り、これほど深い内容のものだったのかと驚いたくらいです。

Q 印象に残ったエピソードは?

視察ばかりの研修ではいけないということで、コースリーダーとJICA九州の担当オフィサーがプログラムにPRA(参加型農村調査手法)研修を加えた際のことです。
研修員は住民の前で発表する案が浮かばず、良いものを提示することが出来そうにありませんでした。その姿を見た私は、研修による「達成感」を味わせたいと、先輩のコーディネーターに、何とか手を貸してやり、形あるものができるようにしてあげられないかと尋ねました。すると、その方は、「彼らは、自国で住民がPRAを実践する際のファシリテーターの役割をすることになる。住民の直面する難しさや苦しさも理解していなければいけないので、手を貸す必要はない。」とおっしゃいました。
つまり、ファシリテーションとは、下手な親切心から余計な手出しをすることではないということを学んだケースです。

Q コーディネーターになってよかったと思う瞬間は?

九州にいながら、様々な国々の人と接する機会に恵まれていることはもちろんのこと、研修中の研修員の質問を聞き、「この人は、帰国後に何らかの行動をとりそうだ。」と感じた時に、うれしくなります。また、帰国後の研修員から実際に行動に移した際に撮った写真やメールなどが送られてくると、コーディネーターとしての仕事が少しは報われたかな、と思います。

Q コーディネーターの業務で、苦労したこと

JICAセンター以外での研修が長いコースでは、体調を崩す研修員が毎回出るのが頭痛の種です。

Q コーディネーターの業務で、工夫していること

講義や視察の際は、研修員の視点がぶれないよう、また、学ぶべき内容を把握しているかなどに気を配っています。
地域振興コースでは、視察先で食品加工や栽培技術を見る機会が多くあり、研修員の目が加工工程などに奪われ、本来学ぶべき行政とのかかわりや、初期投資の出所、成功までの過程などを忘れてしまいがちになります。通訳をしながら、研修員や講師の様子を見て、必要に応じ、こちらから質問などをさせていただき、軌道修正をしていることがよくあります。また、移動が多いスケジュールですので、連絡事項は出来るだけ書面で伝えるようにしています。

Q 効果的な研修に必要な要素は?

理想を言わせていただくと、次の6つです。
1. 講義・視察・実習・討議のバランスが取れており、アクションプラン作成への関連付けができていること
2. 研修員の視点に変化をもたらすような工夫ができていること
3. 高い専門性を有しながらも、研修員主体で柔軟に物事を考えられるコースリーダーがいること
4. 目的意識の高い研修員が参加していること
5. JICAのコース担当者が研修に密接に関っていること、そして、
6. コーディネーターが時宜を得たファシリテーションができること。


現在、佐藤さんには、年間4〜5コースを担当いただいており、JICA九州スタッフからも大変頼りにされています。これからもよろしくお願いします!

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佐藤都茂子コーディネーター

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講義の様子

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討議

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現場視察