雑貨ブランドilo itoo(イロイトー) デザイナー
大久保綾(おおくぼあや)さん
JICA九州では1月〜3月の3ヶ月間、「現地の素材を生かして」と題した館内展示を行っております。この展示にも参加していただいている、中米グアテマラの織物を使ったオリジナル布小物を制作販売している雑貨ブランド“ilo itoo(イロイトー)”のデザイナー大久保綾さんのお話を伺います。
ilo itoo(イロイトー)デザイナー大久保綾(おおくぼあや)さん
私は2008年12月から青年海外協力隊の家政隊員としてグアテマラ共和国で2年間活動していました。帰国後、ilo itooというブランドでグアテマラの織物、民族衣装を使った布小物を制作・販売しています。
“ilo itoo(イロイトー)“という名前は、スペイン語で“糸”を意味する“hilo(イロ)“と日本語の”色”を掛け合わせた造語で、「グアテマラと私たちを繋ぐ色と糸で、たくさんの人の心に色が溢れますように」という意味が込められています。
グアテマラ隊員時代の活動先で
もともと大学で服飾の勉強をしていて、グアテマラの織物を特集した一冊の本に出会い、初めてグアテマラを旅行したのは大学3年生のときでした。そのときの目的はもちろん織物を見ることでしたが、行く先々の村で目にしたのは素晴らしい織物と同時に貧困という現実でした。「なぜこれだけの技術を持った人達が貧しい生活をしているのか」社会人になってからもその光景が頭を離れず、自分に何ができるのかを模索する日々は続き、再度グアテマラを旅して、たどり着いた答えがこの織物を生かした商品制作でした。
グアテマラの伝統織物
施設訪問で訪れた学生たちに説明する大久保さん
私は大好きなマヤ系先住民のお手伝いがしたくて協力隊に参加したのですが、派遣先は残念なことに先住民ではなくラティーノ(白人との混血)が大多数を占める東部地域でした。活動は、私の知る、行きたかったところじゃない、という落胆の思いから始まりましたが、2年目からは先住民のグループとも関わることが出来るようになりました。自分の任地からはバスを乗り付いで8時間ほどかかるところでしたが、定期的に足を運び、バックや帽子、ベビーシューズなどの小物作りを指導しました。その中から教えたものが実際に商品となり、店頭に並んだときの感動、そして「これが外国人観光客にかわいいって人気よ。綾ありがとう。」と言われたときの喜びは計り知れません。「ああ、私こういうことがしたいんだ」って実感した瞬間でした。
展示中の作品たち
「普段使いの、流行に左右されない、ずっと使い続けたいシンプルなもの」をテーマに商品の制作を行っています。現在は、使用する布はグアテマラ、制作は日本という形をとっていますが、後々はグアテマラに制作拠点をもつことを目標にしています。
正直まだまだ始まったばかりなので、今はいろんな方に知っていただくことを目的にイベントなどを行っています。謙虚に図太く続けることが何よりも大切なのではないかと考えているので、出来ることから一歩ずつ前に進めていこうと思っています。
伝統織物から作られたスマートフォンケース
なんでも自分で手作りすることが好きで、幼い頃から母親のする手芸や洋裁を見よう見まねでやってきて、それが今の自分に繋がっています。
グアテマラの織物も、そもそも母から娘へと代々受け継がれて来た伝統文化。何も高貴な技ではなく、普段の生活から生まれたごく身近なことです。
私はきっかけとして好きな色がグアテマラにあったことで繋がりましたが、原点にあるのは、物づくりの喜びを分かち合いたいということ。
そんな女性たちの手仕事を応援し続けたいと思っています。
大久保さんの夢の色が溢れて来そうなステキなお話をありがとうございました。
作品を実際手に取ってご覧になりたい方は、JICA九州展示までお越しください。
また、ilo itooのお二人をお招きしてのイベント(映画で読む未来2012:ちいさな映画界&グアテマラのおはなし)も行われますのでぜひ足をお運びください(要申込み:イベントについてはリンクから詳細をご覧ください)。