<地方創生への貢献に向けてVol.2>株式会社教育情報サービスの目指す地方創生

2017年5月1日

地方創生への思いを熱く語る荻野社長

バングラデシュ情報処理技術者試験成績優秀者

 2012年に開始されたJICA中小企業海外展開支援事業は、中小企業の製品・技術を開発途上国の様々な課題の解決に活かす事業ですが、同時に中小企業の海外展開を通じた日本国内の地域創生や地域活性化への貢献も期待されスタートしました。この大きな期待に応える企業が宮崎市にあります。

 2001年に宮崎市で創業した株式会社教育情報サービス(以下、KJS)。動画制作ソフト「ThinkBoard」を主力製品とし、「ThinkBoard」を活用したeラーニングによる教育の標準化に力を入れている企業です。
 同社代表取締役社長の荻野次信代表は、二十年近くに渡り英語教諭を経験した後、同僚と教え子の3人で起業。以後、「ThinkBoard」を軸にしたビジネスが評価され、「九州未来アワード」(2015年)、「宮崎中小企業大賞」(2016年)を受賞するなど、宮崎で最も元気のある企業の一つとなっています。
 2014年、KJSはバングラデシュでの「案件化調査」に採択され、バングラデシュの国策である「デジタル・バングラデシュ」※の下、ICT技術者の育成に「ThinkBoard」を活用し、情報処理技術者試験への合格率を向上させる取り組みを始めました。その後、「普及・実証事業」にも採択され準備を進めていた昨年7月、バングラデシュでテロ事件が発生しました。その際、荻野社長は「バングラデシュと日本の地域をつなぎ、双方の発展を実現する取り組みを一層強めていきます。絶対にテロには屈しません。」との考えを明らかにし、事業の継続を誓いました。テロ発生後一時中断していた事業ですが、2017年2月より、安全管理上事業対象地域の制限はありますが、バングラデシュのICT技術者の育成を再開しています。
 また、KJSは、2017年バングラデシュに続いて、ケニアでの案件化調査にも採択されました。ケニアでは、高等教育に対応できる教員不足を解消するため、eラーニングによる教育の質の向上に取り組みます。この調査に従事するスタッフは、社外の人材を含め全員「宮崎県出身者」でチーム編成し、オール宮崎での実施体制となっています。加えて、将来のビジネス展開時には、「ABEイニシアティブ」*(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ)で宮崎大学に留学経験を持つ優秀なケニア人を現地代表とする予定にしています。
 このように、KJSは地元宮崎を強く意識しながら海外展開事業に取り組んでいます。

 宮崎の多くの企業は、人材不足に悩んでいます。その様な中、KJSには人材募集をしていなくても履歴書が送られてくるそうです。荻野社長は、「海外と繋がることによって会社の魅力が増し、ぶれない優秀な人材が集まってくる」と言います。KJSの社員には、小学校教諭や園芸会社からの転職など、多種多様な人材が集まっていますが、共通するのは「海外に貢献したい」という強い意志を持っていることです。
 事実、青年海外協力隊事業の枠組みの中で、企業から人材を開発途上国に派遣する「民間連携ボランティア」に、KJSの25歳の女性が応募のための準備を進めています。
 2001年、3人からスタートしたKJSのスタッフは現在25名以上となり、地域の雇用創出にもつながっています。

 7月28日(金)、宮崎では「バングラIT人材シンポジウム in 宮崎(仮)」が計画されています。バングラデシュでの案件化調査実施中に、先方政府関係機関のトップから、育成したICT技術者の受け皿を作ってほしいと求められたそうです。荻野社長は「それを真に受けた」と笑いますが、KJS、宮崎市、宮崎大学と産官学連携の中から、また新しい取り組みが生まれようとしています。

 KJSの目指す地方創生に、今後も目が離せません!

※「デジタル・バングラデシュ」とは
縫製品輸出に依存する経済構造から脱却するため、国内のICT基盤を整備するとともに、ICT産業を輸出産業に育成しようとするバングラデシュの国策の一つ。