<イベント報告・熊本>「災害時のトイレを考える」〜災害に備えた生活空間のつくりかた〜を開催しました。

2017年5月17日

JICAの中小企業海外展開支援についてバイオトイレの普及紹介

「糞土師」である伊沢さんによる講演の様子

伊沢さん(中央)が普段持ち歩いている葉っぱの感触を実際に確かめています

フィールドワークの様子

伊沢さんの著書葉っぱ図鑑を資料にしながら周囲に生える草を紹介

2017年5月13日(土)熊本市現代美術館アートロフトにて「災害時のトイレを考える」〜災害に備えた生活空間のつくりかた〜を開催しました。

これは「アースウィークくまもと2017」に関連したJICAの特別企画で、「熊本震災後にトイレの問題で苦労した経験から1つの参考にしたい」という方や「糞土師」として生きる伊沢 正名(いざわ まさな)さんに興味のある方、その他JICAが行う民間企業への「中小企業海外展開支援」について興味のある方など計41名の方にご参加いただきました。

はじめに、JICAの概要と今回の講演開催の主旨をJICAデスク熊本の阿南より説明しました。
続いてJICAデスク大分の佐保より、JICAの「中小企業海外展開支援」で大分の「合同会社TMT.Japan」がカメルーンでバイオトイレを普及している事例をポスター展示と合わせてご紹介しました。

その後、「糞土師」である講師の伊沢さんより、

・生きる基本は食べて出すこと
・災害時に困るのはトイレが使えず「出せない」こと
・製紙工場の被災により紙が不足し「拭けない」問題があること
・携帯トイレも燃えるゴミとなり、焼却場の被災によりゴミが増えること
・これらを解決し、食べたものへの責任として排泄物を土へ返す「葉っぱのぐそ」の提案
・災害に備えた街づくりとして、地面を多くし、木を植えて林をつくり、お尻にやさしい草木を増やすこと
・街中で出来ない場合は「バケツのぐそ」の実施を

といったお話しと、キノコの写真家として活動していた時の写真から、排泄物がどのように土に還るかについて、時系列で説明したスライドを使用し講演をしていただきました。
「我々が普段トイレを使用して下水に流している排泄物は、し尿施設で大量のエネルギーを費やし燃やされた後コンクリートの原料として固められ、生き物の世界には還らない」という話に参加されていた方は驚かれていました。

講演の後はフィールドワークとして、伊沢さんが普段使っている「お尻にやさしい葉っぱ」を紹介いただき、近くの公園や川辺を歩きながら、身近にある草木から建設物のつくりや地面(土)の少なさなどを指摘することで、参加された方々と「野外トイレのしやすさ」という別の視点から周囲の環境を見直しました。

熊本地震で被災した時、実際にトイレ使用で困った方々が多く、「1つの提案としてバケツトイレには挑戦できるかも」という感想があった他、
「食は権利、ウンコは責任、のぐそは命の返しかた。という糞土(ふんど)思想に共鳴します。命のつながり、命に対するまなざしを根本的に見つめなおす環境教育だと思いました。」
「災害時のトイレを考えるというメインタイトルからは関係がないように思えたが、生きる上での大事なことに気づかせていただきました。環境、状況の対応への答えを安易に求めていた自分を反省しています」
「排泄後、下水に流す方法もあるが、のぐそをすることで土や動物、菌による分解があり自然に還っていくことがよく分かった。写真と研究に感謝。」
「写真がとてもきれいでした。見方を変えることの大切さに気付きました。」
「女性が外でトイレするときの注意点など具体的に聞けたらよかった」
「排泄物が循環するという考えは理解できるが、実際はなかなか難しい」

などの感想をいただきました。

「衛生」「防犯」「場所選び」などの課題もあり、野外トイレを日常に実行するには難しいですが、ライフラインが断たれた場合やトイレがない場合、一時的な対応として「正しいのぐその仕方」「お尻にやさしい葉っぱ選び」の知識があれば我慢することはなく、かつ人間のみの目線ではない自然と命の循環にお返しできるという提案の1つとして万が一の際にご活用いただければと思います。

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。