途上国の肥満問題解決の助けに!

-日本の専門家チームがミクロネシアからの研修員に指導-

2018年1月25日

講義を受けて、研修員同士で議論する様子

講師の先生と実際にエクササイズに取り組む研修員

福岡県うきは市で、市が実践する食育について学ぶ研修員

「途上国」と聞くと、一般的には飢餓や貧困というイメージがあるかと思いますが、実は栄養過多や栄養のバランスに欠いた食事が問題になっている国も多くあります。

今回来日した研修員の母国、ミクロネシアもその国の一つで、「肥満の増加」という大きな保健問題が社会を直撃しています。肥満大国として知られるアメリカの肥満率※1(37.3%)をミクロネシアは上回る状況(41.6%)です。
今回はミクロネシアを対象に、12月17日~25日の期間で日本に研修員としてミクロネシアポンペイ州の保健局・教育局の担当行政官、小学校教員を招きました。研修では、小学校訪問や大学での講義を通じて、日本における体育教育の現状や、生活習慣病予防対策、食育、地産地消の考え方等を学習し、他にも実際に日本で実施しているエクササイズに挑戦し、その効果を体感してもらいました。

ミクロネシアにおける高肥満率の背景には、食習慣の変化が第一に指摘されている一方で、肥満に対する危機感が無く、「太っていること」を許容する意識が強い、減量を考えたとしても具体的な方法がわからない・手段がないという問題点が調査結果からわかっています。
JICAは福岡女子大学からの提案を受け、以上の問題に対して草の根技術協力※2「ポンペイ州における「減量・肥満予防プログラム」導入事業」をスタートしました(事業期間は、2017年10月から3年間)。
草の根技術協力事業では、ミクロネシアの小学校区単位で児童・保護者に、そしてその他の地域住民も巻き込んで1肥満の健康的リスクを理解してもらい、2減量のための食事改善、3特別な施設や器具を必要としない運動方法を教えることが予定されています。
今回の研修は、以上の3つの活動をミクロネシアで進めるにあたって、日本での取り組みを紹介し、自国で生かしてもらうために実施されました。

今回の研修に参加した研修員は、各講義・実習・視察において、積極的に質問をする等、非常に真剣に受講し、全てのプログラムが終わった後には、ミクロネシアでの小学校教育にどのように取り込めるか、実際にカリキュラムと照らし合わせながら、議論をしていました。参加した研修員からは、「新たな学び、新たな気付きが毎日あり、プロジェクトに反映していきたい」や「講義の内容だけでなく、自分たちの活動に取り入れたい『日本式』が多くあった」といった感想が寄せられ、充実した研修となったようです。

帰国後は、それぞれの担当業務に戻り、今回講義や指導に当たって日本人と一緒に、ミクロネシアにおける肥満対策という課題解決に取り組む予定です。

※1 BMI30以上の人口の割合(Prevalence of obesity among adults, BMI≧30, crude Estimates by country, 2016, WHO)

※2 草の根技術協力事業とは、国際協力の意思を持つ日本の団体による開発途上国の地域住民を対象とした協力活動をJICAが政府開発援助(ODA)の一環として促進し、助長する事業。今回の事業においては、福岡女子大学臨床栄養学研究室からの提案を受け、JICAと共同で実施する。