JICAデスクのご紹介(熊本県編)

2018年11月30日

JICAは九州各県の国際交流協会などに国際協力推進員を配置しています。
今回、10月から熊本を担当しているJICAデスク熊本の赤星推進員にインタビュー致しましたので、是非ご覧ください。

-赤星推進員のプロフィール-
熊本市出身。熊本県内の公立大学を卒業後、京都の大学院に進学。大学院修了後は、母校の大学で助手・助教として栄養士の養成に従事。退職後、東ティモール(2013年7月~2015年10月)とミクロネシア連邦(2016年7月~2018年7月)で、JICAボランティア(栄養士)として活動。2018年10月より現職。

青年海外協力隊に参加したきっかけを教えてください

【画像】元々、漠然とですが「いつか、海外で何かをやってみたい」という思いがありましたが、働き始めるとなかなか海外へ渡航するきっかけを見つけられずにいました。そんななか、2011年に東日本大震災をニュース映像で見て「自分もいつ被災したり、命を落としたりするか分からない」と感じ、やりたい事はできるときにやっておこうと思いました。また、今後、自然災害が万一自分の身近に起こった時に「今の自分では何も出来ないな」と思い、海外での経験が自信に繋がるのではとも考えました。
その当時、熊本県立大学で栄養士の養成に携わっていたのですが、大学院を出てから栄養士として働いた経験がないまま大学に就職したので、学生を育てているうちに「自分も栄養士としての経験が欲しいな」と思うようになりました。しかし、熊本県内だと、卒業生が沢山いますので、お互いに働きづらいだろうと思い「海外で栄養士として働いて自分の今、出来ることを試すというのもいいな」と考えたのもきっかけの一つですね。
そして、インターネットでいろんな団体のホームページや栄養士で海外に行った方のブログで情報を収集した結果、協力隊に参加したいと思い応募しました。

青年海外協力隊に参加してみて如何でしたか?

ディリ県の栄養士のみんなと(東ティモールにて)

職場のみんなとBBQ(東ティモールにて)

離島で地域リーダーさんへの講習(東ティモールにて)

配属されたのは東ティモール民主共和国の首都「ディリ」にある保健省でしたが、JICAボランティアが初めて派遣された組織だったので、受け入れる保健省の担当者も「青年海外協力隊」がどういうものなのかをよく理解されておらず、国連の職員と同じだと思われていたのか、当初はアドバイザーの様な仕事を依頼されることもありました。
ですから、最初は自分が想像していた協力隊の活動とは異なるもの、例えばユニセフが支援する母子手帳の改訂など、国のいろいろな仕事に関わることになったのです。しかし、私としては現地の集落や部落に行って住民の方に対し栄養指導を行う様なコミュニティヘルスの活動をしたいと思っていたので、その旨を伝えたところ、派遣されてから半年後に週の半分は保健省の仕事をして、残りの半分はディリ県の保健局の仕事もさせてもらえることになりました。
県の保健局では日本でいう「保健センター」のようなところに所属している栄養士4名とそれを統括している栄養士1名の計5人のスキルアップを目的に活動を行いましたが「保健センター」に所属している栄養士の方たちは配属されたばかりで「なにをしてよいか分からない」という感じでしたので、「栄養士とはこういったことをするんだよ」という事を教えて彼女たちの仕事を作ることからスタートしました。
具体的には定期的にミーティングを行い、よかった事や困った事などを共有して、やりたい事があれば上手く出来るように指導し、県の保健局に提出する月間報告の作成に役立つ様式を作ったりしました。

シニア海外ボランティアに参加された理由を教えてください

カウンターパートと一緒に(ミクロネシア連邦にて)

集落での調理実習(ミクロネシア連邦にて)

集落の皆さんと一緒に(ミクロネシア連邦にて)

青年海外協力隊の東ティモールでの活動はあっという間に終わった感じだったのですが、実は、日本に戻ってきたその日にシニア海外ボランティア(当時)の応募書類をポストに投函しました。「東ティモールでは栄養不足が問題になっているのに、同じ開発途上国で比較的距離も近い大洋州の国々では栄養過多で肥満が問題になっているのは、どうしてだろう?この目で実際に見てみたい!」という思いから大洋州の国に行きたいと考えました。また、日本に帰国したら大学に戻り「国際栄養学」の分野を深めたいと思ったので、対照的な二つの国を見ておくのは大切だとも考えました。
シニア海外ボランティアとして配属されたのはミクロネシア連邦で、一番人口が多い「ポンペイ」という島にあるミクロネシア短期大学の付属研究機関でした。そこでは実際にコミュニティを回り栄養教育や健康教育を行う普及啓発部門で活動しました。
ミクロネシアでは成人の約80%の方が過体重もしくは肥満であるだけでなく、最近は子供の肥満も増えているため国として対応していきたいというのが要請された背景でした。現地の人々は自分が肥満であることは理解しているのですが、実際に肥満の程度がどのくらいなのかということを知らないんですね。そもそも、家だけじゃなく部落すら体重計がなく、診療所にいかないと体重は測れないのです。そこで、栄養教育の際にメジャーと体重計を持って行き、身長と体重を測って「あなたのBMIはいくつだよ」と伝えつつ、BMIのチャートを使って「今、あなたはこの赤いところ(肥満領域)にいるので、黄色(過体重領域)までは体重を落とすことをお勧めします」という様な指導をしました。活動中、何かここに残せるものがあればと考えていましたが、この活動を一緒に働いていた現地のカウンターパートが続けてくれています。
日本には食べものの選択肢がたくさんあり、自分で何を食べるのかを選ぶこともでき、栄養のバランスを考えた食事を摂るができますが、東ティモールやミクロネシアでは(お金の問題だけでなく、そもそもの選択肢が少ないという理由で)限られた選択肢しかない人たちが沢山いました。そんな状況を見て、この二つの国から「栄養を考えながら食事をする」というのはなんと恵まれたことだろうと心底感じました。
JICAボランティアに参加して現地では大変な事も沢山ありましたが、帰ってきてみると誰にでもできる経験ではないので、行ってよかったなと本当に思います。今回、熊本県の国際協力推進員になったのは、JICAボランティアの経験を熊本の為に役立てたいと思ったからです。少しでも故郷の役に立てたら嬉しいですね。

最後にJICAデスク熊本のご紹介をお願いしします

【画像】JICAデスク熊本は熊本市国際交流会館の2階にあります。市電の花畑町電停や交通センターからは徒歩3分と公共交通機関の便もよく、春には熊本城備前堀の桜並木も臨めます。会館では、日本語講座や外国語講座をはじめ、国際交流イベントが頻繁に開催されています。2Fラウンジの本棚にはJICAに関する資料や発行物もたくさん置いてありますので、興味のある方はぜひお立ち寄りください。
日曜・月曜・祝日は基本的にお休みを頂いていますが、応相談で対応可能です。また外出していることも多いので、JICAデスクにご用の際は事前にご連絡いただけるとありがたいです。

-JICA国際協力推進員について-
国際協力推進員は、「地域のJICA窓口」として、地域国際化協会など地方自治体が実施する国際協力事業の活動拠点に配置されています。ボランティア事業や開発教育支援事業をはじめ、JICAが実施する事業の広報及び啓発活動の推進、自治体や大学、NGO、企業等が行う国際協力事業との連携促進等の業務を行っています。これらの業務を通じて、国際協力に対する市民からの理解の増進、地域での市民による国際協力活動の促進、地域関係者との連携推進を図ることを目的としています。