JICAデスクのご紹介(大分県編)

2019年4月25日

【画像】JICAは九州各県の国際交流協会などに国際協力推進員を配置しています。
今回、3月から大分県を担当しているJICAデスク大分の井本推進員にインタビュー致しましたので、是非ご覧ください。

-井本推進員のプロフィール-
山口県出身。教育学部社会科学専修卒業。官公庁の青年国際交流担当勤務を経て、青年海外協力隊員として中米カリブ海のセントルシアへ。2年4か月間、現地赤十字社にて青少年赤十字事業に従事。帰国後、難民支援団体勤務を経て、現職。

青年海外協力隊に参加したきっかけを教えて下さい。

岡山県の中学生から届いた手紙を手に

 幼い頃から好奇心旺盛な性格で、都会ではなく田舎で育ったこともあり、遠い異国の外国人に対する興味や海外への憧れが元々とても強かったと思います。中学生になって、地元の市が主催している「英語暗唱大会」で入賞したら副賞としてオーストラリアの姉妹都市で「ホームステイと学校研修」を経験できる、ということを知りました。これだ!と思い、中学3年の時に念願叶って準優勝することができ、ブリズベン近郊のレッドクリフ市(現モートンベイ市)へ約2週間派遣されました。私にとって初めての海外で、この経験が田舎の中学生の心に与えた感動とインパクトは計り知れず、「将来は国際的な仕事に就きたい」と思うようになりました。また、中学・高校時代、特に現代社会や地理の科目が好きで、中でも南北問題や民族問題、人種問題など、「人権や社会正義の問題」に強い関心を持つようになりました。大学時代にはアルバイトでお金を貯めて、長期休暇を利用して日本のNGOなどが主催するスタディーツアーに参加したりしていたのですが、それが初めての開発途上国への渡航でした。フィリピン、バングラデシュ、エジプトを訪れたのですが、いずれも現地の児童や青少年らとの交流があるもので、子どもたちの弾ける笑顔がとても印象的でした。幼き日の私自身が環境に恵まれ、青少年育成のプログラムで大きく成長させられた経験もあり、生まれた国や人種、性別などによって子どもの発達に差が出るような不条理があってはならないという想いと、そのために少しでも今の自分に出来ることをしてみたいという想いから、東京の官公庁で青年国際交流事業に従事した後、かねてから関心のあった青年海外協力隊に、青少年活動の職種で、参加しました。

青年海外協力隊に参加してみていかがでしたか?

三重県の高校のJRC部と千羽鶴の共同制作に着手

完成した折り鶴と共に

 中米の東カリブ海に浮かぶ島国セントルシアの赤十字社から、現地の青少年赤十字事業を活性化させるための人材の要請が出ており、私はそこへJICAから初めてのボランティアとして派遣されました。セントルシアは日本の淡路島くらいの大きさの国で、とても小さく、人口は約17万人、約90%がアフリカ系です。公用語は英語で、日本大使館は無く、近隣の在トリニダード・トバゴ日本国大使館が兼轄しています。私が赴任した2014年当時、在留邦人数は8人ほどでした。活動内容としては、主に小・中等学校のクラブ活動の一環としての既存の青少年赤十字クラブ(JRC)に新規プログラムを導入することでJRCの更なる充実を図ることが使命でした。私が推進したのは、まず、青少年赤十字の生徒らの視野を島国から世界に広げ国際親善の精神を養う機会として、「異文化理解交流プロジェクト」を企画・実施しました。日本の中学校の英語の授業の一環や高校のJRC部と連携して約2年間、手紙やビデオレターを通じた交流を行い、最終的には平和学習へと繋げ、千羽鶴を共同制作し、完成品は広島の平和記念公園へ届けました。また、カリブの美しい大自然の中、ごみのポイ捨ての多さが散見されることに大きな課題を感じていたので、環境学習プロジェクトを企画・実施しました。エコクラフト作成やワークシートを通じて3Rやモッタイナイという概念を紹介した後、実際にフィールドに出てごみ拾い活動を実施し、環境保護と地域美化について啓発を行うなどしました。学校数としては最終的には計17校を管轄し、約400名の児童・生徒らが対象となり、ほぼ毎日学校を巡回しているような状況でしたが、異文化の中、刺激と発見に溢れる日々で、私の方が沢山のことを学ばせてもらいました。協力隊参加は間違いなく私の人生のターニングポイントになりました。

推進員として、これからどんなことに取り組んでいきたいですか?

ごみ拾いを通して地域美化について考える

 推進員の業務は幅広いですが、特に広報の充実に力を入れたいと思っています。県内で国際協力への関心度を高め、市民参加を促進するために、具体的にはボランティア事業の説明会の充実や学校などでの出前講座の活性化をはじめ、対応していきます。遠隔ではなく地域駐在のデスクだからこそ出来ることを充実させていきたいです。

最後にJICAデスク大分の紹介をお願いします。

【画像】 JICAデスク大分は、「大分県のJICA窓口」として、大分市の中心部にあるiichiko総合文化センターの地下1階、おおいた国際交流プラザの中にデスクを配置しています。ボランティア事業への応募相談や広報・啓発活動はもちろんのこと、自治体や大学等と連携したイベント実施、学校機関などで国際理解教育やワークショップ実施など、県内の様々な現場での国際協力の推進に関して、幅広く対応しています。プラザの交流スペースにはJICAに関する資料や広報誌などを沢山ご用意しており、ご自由にお持ち帰りいただくこともできますので、お気軽にお立ち寄りいただけたらと思います。開館日は、基本的に、日曜・祝日と毎月第2・第4月曜日を除く平日です。
どうぞよろしくお願いします。