「2019年度事業マネジメント研修」参加者のレポート

2019年11月22日

【画像】 JICAではプロジェクトを実施する上で重要となるPCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)手法の習得を目的とし、事業マネジメント研修(計画・立案編及びモニタリング・評価編)を開催しています。計画・立案編(1日間)では、開発途上国での国際協力活動の経験が浅い団体のスタッフが、草の根技術協力事業などの事業計画の検討ができるようになることを目指します。ターゲットグループが抱える問題を分析する手順から始め、事業計画の作成、精査までを学んでいただけます。またモニタリング・評価編(2日間)では、すでに開発途上国での事業経験や計画・立案知識を有する方を想定して、事業の実施(モニタリング)・評価ができるようになることを目指します。適切なモニタリングのための詳細計画の確認とスケジューリング、リスク管理、モニタリングに基づいた事業の修正、評価及び評価結果の中でも特に重要な部分に対し、その結果をもたらした要因分析、実際の事業実施にあたって重要な事項を学ぶことができます。このように、プロジェクトデザインの作り方、モニタリング・評価の方法等を、ワークショップを通じて学んでいただく形となっており、特に、草の根技術協力事業を実施中、または提案を考えている方には効果的な研修です。
 今回、JICA九州での「2019年度事業マネジメント研修」を受講された、社会福祉法人ながよ光彩会の戸崎千尋氏にレポートを作成して頂きましたのでご紹介致します。
 今回作成いただいたレポートにもあるように、これまでに開発途上国などでの経験のある方にとっては、これまでの経験の振返りにもつながります。レポートを見て興味を持たれた方、次回の九州での事業マネジメント研修は2020年4月に佐賀で開催することを予定していますので、ぜひ受講をご検討ください。

事業マネジメント研修を受講して

【画像】 今回、JICA九州で行われた事業マネジメント研修(計画・立案編、モニタリング・評価編)に3日間参加させて頂きました。
 わたしは青年海外協力隊として途上国でボランティア活動の経験があり、帰国後JICAの草の根技術協力事業に興味を持ち、途上国への技術支援をやってみたいと思っていたため、この研修は大変良い学びとなりました。現在、草の根技術協力事業の提案を検討しており、今回の学びを活かしてチャレンジが出来ればと思っております。
 1日目の計画・立案編では、プロジェクトの定義、問題分析・目的分析などプロジェクトを開始するにあたってとても重要な事業計画表について学びました。ターゲットグループが抱えている問題の原因は何か、またその複雑な問題の原因を解決するためにはどんな目標や活動が必要か。ここではロジカルな考え方や物の見方が重要で、わたしにとってとても刺激のある内容でした。演習では、実際に用意された事例を使って問題抽出のための樹形図を作成したり、立てた目標に対する活動を考えました。経験や専門分野の違うメンバーが集まり、同じ目標に向かって課題に取り組み意見交換をすることは非日常的でとても有意義な時間でした。実際にプロジェクトを実施する際にもたくさんの人と情報交換し、その情報を共有し、同じ目標に向かって進めていく過程はとても重要で、とても難しい部分でもあると思います。また、プロジェクト当事者の『やりたいこと』がカウンターパートや現地の人たちの『必要としているもの』とは限らず、現地の人たちに合ったやりかた、進め方を考えることが大切だと改めて感じました。
 2日目、3日目の研修(モニタリング・評価編)では、実際に事業計画表の中身について学び、データ収集の方法、目標達成のための指標の設定や事業全体の把握のためのWBS:Work Breakdown Structureの作り方、リスクマネジメントや軌道修正、事業の評価方法について新しく知ることができました。草の根技術協力事業では自分が行ったプロジェクトの評価を自分で行うということも初めて知り、プロジェクト終了後の学びを次に活かすためにもプロジェクトの前準備や計画書の作成、実施中の計画の見直しがとても大切だと思いました。草の根技術協力事業を進めるうえでとても重要な、持続可能性についても学びました。実際わたしは2年間のボランティア活動の中で、自分が帰国したあとも現地の皆さんが続けて行ける活動の提供についてとても悩みました。現地の人たちと同じ目標を持ち、彼らにとって必要な活動は何か、彼らが自発的に続けたい活動は何かを見つけ出すことは簡単なことではありません。途中、自己満足になってしまっていないかと立ち止まり自分の活動を振り返ってみる時期もありました。これは草の根技術協力事業においても常に考えながら進めて行くべきだなと思いました。
 今回の研修を受講して、自分のボランティア活動の振り返りもでき、更にこれから草の根技術協力事業の提案の際に必要な書類はもちろん、考え方や事業の進め方を具体的に学ぶことが出来ました。3日間とても充実しており、今回学んだ考え方、事業の進め方はさまざまな場面で有効に活用することができると思うとこれからが楽しみになりました。素晴らしい研修を受講する機会をいただき、ありがとうございました。

社会福祉法人ながよ光彩会
戸崎 千尋