医療機関の質の向上と、住民の健康維持を目指して

2018年8月9日

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永吉 彩青年海外協力隊員(2017年度1次隊派遣・看護師)

永吉隊員は看護師として2017年に7月にマダガスカルに赴任後、首都アンタタナリヴで約1ヶ月間マダガスカル語の訓練を受けて、8月に任地であるマジュンガ(首都からバスで約12時間)に赴任しました。当初はコミュニケーションもままならないため、配属先からの要請内容や自分がやりたいことはともかく、求められてできることをなんでもやっていったと言います。ある程度意思疎通がとれるようになってからは、要請に基づいた話し合いを行いながら、活動計画を作って行きました。

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道中は乾燥した土地が続く

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基礎保健センターの事務所は綺麗に整理されている。

主な活動としては、管轄する基礎保健センター(CSB)と呼ばれる地域の診療所を巡回訪問しながら5S活動(「整理・整頓・清掃・清潔・躾」という職場環境の維持・改善のために用いられるアプローチ)を定着させることが挙げられます。5S活動についての提案や評価を行いながら活動が定着することで、保健サービスの質を向上することに貢献するものです。各CSBの5S担当者のリーダーシップの元、同活動が推進されて、センター内にある機材や書類が整理され使いやすい状態に保たれるのが理想ですが、実際に目に見えるモデルがない、母子手帳がなく、医療データを整理するための棚や、カルテを整理するためのファイルを買うといった予算は無く、またそんなことをやったことがない人たちにとっては、実践は易しいものではありません。しかし最近では、自分たちで工夫して、資料を整理し、紙にタイトルを手書きし、ラミネートした仕切りで資料を区分けし、区分けのルールがわかるように棚にラベリングして、取り出したいデータがすぐに出せる状態にしているなどの事例も見られるようになってきました。実はこのアプローチは当初、日本の協力で当地のマジュンガ大学病院で導入されたもので、国立大学病院レベルでは実施が励行されている職場環境改善のための手法です。しかし郡病院や農村部の小さな医療機関で導入される事例はこれが初めてです。同アプローチは2015年に派遣された短期青年海外協力隊員が導入し、その後の長期隊員が同活動を引き継ぎ、普及活動を行い評価基準の設定準備を行い、後任として派遣された永吉隊員によって定着や評価段階まで辿り着きつつあります。

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紙箱で作ったカルテ箱。飾り付けも手作り。

整理整頓や業務効率化がなされるだけでなく、より美しく見えるように紙を切って資料が入っている箱に貼り付け、飾り付けまでしてしまうところが、マダガスカル人の美的感覚なのでしょうか。(日本でやったら怒られるかもしれません。)

まだまだ農村部住民の医療機関へのアクセスに課題を抱えるマダガスカルで、この5S普及・定着活動を通じて、スタッフの業務に対する意識も向上し、訪問して来る方々が気持ちよく医療サービスを享受できる医療機関になって欲しいと願うばかりです。

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地域栄養ボランティアさんは、地域の乳幼児の情報はすべて把握しているという。

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体重測定で赤ちゃんはいつも大泣き。おしっこをかけられることもある。

永吉隊員のもう一つの活動として、乳幼児の栄養状態の改善があります。マダガスカルでは5歳以下における慢性的な栄養不良率が47%と非常に高く、子供の心身の健全な成長に深刻な影響を及ぼしているのです。慢性的な栄養不良は、体、臓器や脳の発達を阻害する要因となったり、将来の学習や経済活動にも影響を及ぼすと言われています。この問題に取り組むために、永吉隊員はSEEKALINEと呼ばれる地域栄養管理センターを訪問し、地域のボランティアとともに、乳幼児の体重測定をし、乳幼児に十分な栄養が行き届くよう啓発指導を行なっています。この栄養管理センターを訪問できない家族については、戸別訪問をして、体重測定と指導を行います。啓発するだけでなく、共に実際に離乳食や栄養価の高い食事を作ることが重要と考え、調理実習も始めています。

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体重が不足している場合には、親に栄養補助食を配布し、栄養についての説明も行う。

栄養は食事から摂取するしかありません。住民の食習慣を変えてく、子供の成長に必要な栄養価の高い食事理解し、広めて行くことは容易ではありませんが、マダガスカルの子供達の健康と健やかな成長のために、永吉隊員は挑戦を続けています。