コミュニティレベルで働く保健従事者らが相互交流を実施

2012年12月10日

成功事例や課題を共有し、地域の保健サービス向上へ

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ワークショップ

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グループ討議

「村の健康を改善するために団結して仕事をしたい」「もっと技術を身に付け、見本となれるよう働きたい」—ワークショップ後、参加者から聞かれた意見です。

2012年8月31日、マラウイ北部・ムジンバ県のジェンダヘルスセンターに勤務するヘルスワーカーら11名が、ムズズ市役所を訪問し、そこで同じように働くヘルスワーカーらとワークショップ形式での相互交流を実施しました。同ヘルスセンターや市役所には、コミュニティの最前線で地域住民への保健サービスを提供するヘルスワーカー(Health Surveillance Assistant;HSA)が勤務しています。

この訪問は、コミュニティレベルで働くHSAらが抱える課題や成功事例を共有し、業務への意欲を向上させることを目的として企画されました。両配属先ともにJICAボランティアが活動しており、企画に際してボランティアのカウンターパートとともにムズズ市役所を事前に訪れ、関係者と内容の打ち合わせを行いました。

マラウイでは、HSAは地域の保健サービスの担い手として、保健基礎データの収集を始めとする公衆衛生全般に関する調査、住民への疾病予防教育、5歳未満児と妊産婦への予防接種、5歳未満児の成長のモニタリング等に加え、近年では、5歳未満児の診察や投薬、家族計画の指導、HIV検査及びカウンセリング等、予防啓発活動を超えた役割が課せられています。また、マラリア、コレラ等季節性疾患の対策キャンペーンなど、国、NGO、ユニセフ等が行うプログラムを、コミュニティレベルで運営・実施するのも彼らであり、HSAの業務は広範囲にわたっています。

ムジンバ県では、県南部病院とその傘下の3つのヘルスセンターを対象にJICAボランティア(公衆衛生)がグループで派遣されており、県病院との効果的な連携を目指しつつ、HSAや村のボランティアとともにコミュニティレベルでの保健サービスの向上に取り組んでいます。HSAは上記のようにたくさんの仕事を抱えていますが、十分なフィードバックやスーパーバイズを受けておらず、各自の裁量に任され、孤軍奮闘しながら働いている現状があります。また彼らの知識や技術の不足、モチベーションの低さなど多くの課題があります。

今回の訪問で工夫したことは—

実施するにあたり、通常の会議形式では効果が薄いと考え、業務に関する一通りの情報共有をした後は、以下のようなワークショップ形式にしました。

1)グループ毎に「業務において改善できる部分は何か?」「そのために何をしたいか?」「(自分が)どうなりたいか?」についてアイディアを付箋と模造紙を使って共有

2)「1)が実現した、目標とする状況」を想像して、仮想の業務計画とレポートを各自で記入

3)グループから出た意見をそれぞれ発表してもらい、全体で共有

参加者の主体的な参加度を高めるために行なった工夫ですが、これまであまり経験したことのない作業に、中には内容の意図を理解するのに時間がかかり、とまどう参加者もみられました。しかしファシリテーター(HSAの上司にあたるスタッフに事前に依頼)のサポートにより、最終的には、大部分の参加者が自身の意見を表出することができました。

「担当している地域の問題をきちんと把握し、優先順位をつけること」「ゴールや戦略を設定し、計画を立てること」「行なった活動をレポートにして報告すること」こういった、基本的ですが重要な事柄も今回のワークショップを通じて共有されました。一方で、少し内容を詰め込みすぎ、消化不良になってしまったかもという反省点も残りました。

訪問実施後、ジェンダヘルスセンターではミーティング出席率、月例レポートの提出率が向上し、マーケットやレストラン・バーの衛生調査と指導、食料品店の視察といった活動が新たにスタートしています。ジェンダ地域は、幹線道路に面しザンビアとの国境に位置するという立地から、人々の往来が増えており少しずつ都市化が進んでいます。今回、マラウイ北部地域の中心地であるムズズ(都市部)のヘルスワーカーらの働き方を共有できたことは、ジェンダのHSAらにとっても良い面があったように感じています。

ヘルスワーカーと住民が健康の改善にむけて、ひいては明日のより良い生活に向けて、ともに歩んでいくこと、そして「一人でも多くの救える命のために」—そんな思いで、JICAボランティアは草の根での活動を続けています。

(青年海外協力隊 公衆衛生 松尾英憲)