全世界一丸となった地球温暖化対策の開始に向けて(マラウィにおける森林保全に関する取組み)

2012年12月20日

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「薪」の運び屋さん、さあこれから一仕事!

一枚目の写真は、森で集めた薪を自転車一杯に積み込み、これから町まで売りに出かけるところです。朝、車で走ると、こうした自転車と一体何台すれ違うことでしょう…。日本では昔話でしか出てこなくなった「薪:Firewood」ですが、ここマラウィでは、料理をしたり、レンガを作ったり、主要な輸出品であるタバコや紅茶の葉を乾燥したりする際の必需品です。電気の普及率が国全体で未だ数%、ガソリンはなんと1リットル200円!そんな状況にあって、マラウィの「森林」は、地域の人々の日々の暮らしや経済活動を営むため、「縁の下の力持ち」として、大変重要な役割を担っています。この大切な「森林」が、人口の急増(ここ30年で2倍以上)に伴う過剰な伐採、農地の拡大などのため、今、凄い勢いで消失しています。

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違法に伐採された木材を発見!

こうした現象は、専門用語で「森林減少:Deforestation」と呼ばれていますが、実は、この「森林減少」、日本に住む私たちにとっても、全く無関係な話ではありません。自然災害の多発、食料生産の減少など世界各地で深刻な影響が発生すると言われている地球温暖化(Climate Change)ですが、世界全体の温室効果ガスの排出量の約2割が「土地利用の変化」すなわち、森林減少などに由来することが、最近の研究でわかってきたからです。

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「保護林」が知らない間にトウモロコシ畑に…

このため、地球温暖化を話し合う国連会議(国連気候変動枠組条約締約国会議:UNFCCC・COP)では、特に途上国で深刻化している「森林減少」を食い止めるための仕組み(森林減少・劣化による排出削減等:REDD+)が熱心に議論されており、その過程で、日本を含む先進国が、アフリカや東南アジアなど途上国の「森林保全」に向けた努力を後押ししていくことについて合意されました。日本政府は、そうした国際約束を果たすため、ここアフリカ南部の最貧困国であるマラウィで、無償資金協力「森林保全計画」(マラウィ政府が森林保全に取り組むための車両、機材の供与、森林資源評価の実施など)を実施し、マラウィ環境・気候変動管理省に「森林保全管理アドバイザー」(森林政策への助言、スタッフの能力強化)として私を派遣しています。

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COP18サイドイベントで取組の成果を報告!

先日は、赴任後初めてとなるワークショップを、環境大臣や日本国大使を来賓に迎え、森林局スタッフ、環境NGOなど約150名の出席の下、開催することが出来ました。テーマは、ずばり「森林の現状をみんなで共有する」こと。マラウィでは、「森林減少」のストップを国家戦略に掲げているにもかかわらず、今までにどれだけ森林が消失し、現在どれだけの森林が残っているのか、といった基本的なデータすら、この20年間、分析出来ていなかったのです。日本人専門家が、日本が打ち上げた地球観測衛星「だいち:ALOS」の撮影画像などを活用して分析を行い、現在の森林率が20%にまで落ち込んでいること、年間約2万ha(山手線内側の3倍弱)の森林が減少しており、そのスピードが加速度的に増加していること、などについて報告しました。また、この結果は、中東のドーハで先日開催された第18回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP18)の会場で行われたサイドイベントにおいて、世界各国の関係者に共有され、マラウィ環境大臣から日本の地球環境問題担当大使に感謝の言葉も述べられました。

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2国間で森林保全対策に協力して取り組んでいくことを確認

ご存じでしょうか?現在、地球温暖化に関する国際交渉では、日本を含む先進国と、中国、インドやアフリカなど途上国の国々が、今後の取組を巡って対立しており、日本が議長となって合意した「京都議定書」以降の国際的な枠組みを作り出せずにいます。しかし、地球温暖化、生物多様性などの環境問題は、国境の垣根を越え、世界各国が協力して解決を図らなければいけない「地球規模課題:Global Issues」です。今回のような我が国の地道な国際協力を通じて、先進国と途上国が地球温暖化防止に向けた取組の重要さを共有し、全世界が一丸となって、具体的な対策を取れる日が、一刻も早く訪れることを祈りつつ、ここマラウィの地で、アフリカ人の同僚と日々活動を行っています。

(森林保全管理アドバイザー 大仲 幸作)