病院スタッフ向けに5Sスタディツアーを開催

2013年5月10日

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説明を熱心に聞き入るスタッフ

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5S実施前の引き出し

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5S実施後の引き出し

4月25日から26日にかけて、わたしの活動先であるムワンザ県病院(以下、当院)のスタッフ向けに、他病院の5S活動を学ぶためのスタディツアーが実施されました。

マラウイでは、保健医療サービス品質向上の手段として、保健省主導、JICA支援により5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字をとった、職場環境改善活動のこと)が推進されています。当院でも、昨年8月から5Sが始まりました。現在は5つのモデル部署で、整理、整頓、清掃という3S活動をメインに行っています。この国は薬などの必要な医療資源も十分に確保できない状況にあり、5Sのために高価な機械や物資を購入することは難しいです。われわれは、薬の空き箱や使用済みダンボールなど身近なものを用いて職場環境を改善し、効率性や安全性を向上させるような取り組みを行っています。

今回のスタディツアーの目的は、大きく以下の3つが挙げられます。

  • 5Sに長年取り組んでいるパイロット病院の現場から、好実践例・課題を学んでもらう。
  • 学ぶだけでなく、それらをいかにして自分たちの職場に適用するかを考え、実践してもらう。
  • スタッフたちの5Sに対するモチベーションを高め、当病院の5S活動をより発展、活性化させる。

今回のスタディツアーが実現した背景には、当病院長の強力なイニシアティブがありました。院長は5Sによって病院をもっとよくしたいという強い意志を持っており、ツアーに必要な参加者の手当て、宿泊費を病院側で負担してでも実施しようとしていました。ただ、ネックになっていたのがバスのレンタル代とガソリン代。そこで、これらはJICAの協力隊員支援制度を活用することにし、今回のツアーの実現に至りました。

また、スタディツアーの特色として、院長や看護局長などの病院経営層だけでなく、5Sモデル部署の看護師やHospital Attendant(清掃や簡単な医療行為も行う)といった、現場レベルのスタッフも参加したことが挙げられます。トップの掛け声だけでは、活動の中身も伴いません。現場層の理解、実践あってこその5S活動であり、人選としても非常にバランスのとれたものだったと思います。

今回は私を含めた病院スタッフ24名と他病院で5S活動を行っている協力隊員3名で、マラウイで5Sを最初に始め、JICAの5S専門家も毎年訪問しているドーワ県病院とムジンバ県病院を訪れました。スタディツアー当日は早朝5時出発というにもかかわらず、なんと全員が時間通りにスタンバイ。5時過ぎに到着したわたしに対して「サトー、遅い!置いてくぞ!」。あれ?会議や待ち合わせはいつも遅れる、おおらかなマラウイアンタイムじゃない?失礼しました。やる気満々のスタッフとともにいざ出発。バスの車内は大音量の音楽と、それに負けないスタッフのお喋りに笑い声。これぞ、ザ・マラウイアンスタイル。

さて、そんな賑やかな道中でしたが、目的地に着くと雰囲気が一変。ユニフォームに着替えたスタッフは真剣な眼差しに。受入側のスタッフによるオリエンテーションの後、病棟やオフィスを見学させていただきました。見学の最中では、担当者の説明を熱心に聞き入り、疑問点があれば質問をし、気づいたところはメモに取るスタッフの姿が見受けられました。また、訪問先から一方的に学ぶだけでなく、自分たちの実践例を紹介し、意見を交換しあうなど、お互いに学びあう様子も垣間見ることができました。後で聞いたところでは、受入側病院のスタッフ達にとっても、私たちの訪問が「いいところを見せなければ」という、よい発奮材料になってくれたようで、双方にとって有意義なスタディツアーとなりました。

さて、多くの方々にサポートをいただいたおかげもあって、スタディツアーは無事終えることができました。ですが、大切なのはこれからです。ただよい事例を学んで来たというだけではなく、それをいかに自分の職場にも応用していくか。いかにして「医療品質の向上」に結び付けていくのか。私としても、そんな彼らをどうサポートしていけるのかが、今後の課題となってきます。残念ながら、一部のスタッフには、5S=ラベル貼り(見た目をきれいにする活動)という誤解が今でも残っています。もちろんラベル貼りも大切ですが、それだけではなく、5SはKAIZEN-TQM(Total Quality Management)へとつながる継続的な医療品質向上活動の土台である、ということを理解してもらい、実践してもらうことが、残されたわたしの活動期間における大きな役割と言えそうです。「ないからできない」ではなく、「今あるものの中で何ができるか」。あと1年半、彼らと一緒に考え、実践していきたいと思います。

平成24年度2次隊 行政サービス 佐藤 宏樹(ムワンザ県病院)