一村一品運動「売れる商品」の開発

2013年12月17日

氏名:伊藤 清美
隊次:平成23年3次隊
職種:デザイン
配属先:一村一品事務局
出身県:東京都

私は2011年2月から一村一品事務局にデザイン隊員として配属されています。一村一品運動とは簡単に説明すると「各村落で特産品をつくり村興しをしよう」という運動です。その中での私の役割は一村一品の理念を普及させることです。具体的には、ニュースレターの発行、説明冊子の作成、イベントへの参加、商品パッケージのデザイン制作、OVOPショップ(一村一品商品の展示販売を行う店)に係るデザイン制作、デザインスタッフへの技術移転などがあります。その中で今回は「商品パッケージのデザイン制作」についてご紹介させていただきます。

通常、商品のパッケージデザインはグループ主導で行いますがそこにはいくつかの問題がありました。

  • 商品ラベルをまっすぐに切ること、貼ることができない。
  • 内容物(ハチミツなど)がボトルから漏れている。
  • 輸送途中でボトルが凹む、破れる、こぼれる。
  • そもそも誰に売るためのラベルをデザインしているのか分からない、というより決められない。
  • そしてこれらの問題を誰も問題視していない。

このようにお世辞にも魅力的な商品とはいい難い状況でした。これらの問題はグループメンバーをはじめマラウイの人々はデザインへの意識が低いことが原因だと考えられます。デザイン云々よりも価格至上主義で粗悪品でも安いものが重宝がられている現実もあります。しかしながらデザインへの意識改革を図るべくデザインの意義を語るには膨大な時間と手間がかかります。それよりも成功事例を作るほうがカウンターパートやグループメンバーへの理解が進むと考え「売れる商品」の開発に着手しました。開発にあたり先に述べたパッケージングの問題点に加えいくつかのポイントがありました。

  • マラウイには外国人向けのお土産というものが極端に少ない。
  • 輸出をする場合、バルクで販売するよりもパッケージで販売したほうが現金収入が増える。
  • OVOPショップの売上げは米に頼りすぎており、米が無い時期に売上げが減少する。
  • 米や油、石鹸などの生活必需品とハチミツやバナナワインなどの嗜好品の棲み分けをする。
  • とにかく売れる商品を開発し成功事例をつくりグループメンバーのモチベーションをあげる。

これらを踏まえて下記のコンセプトで「売れる商品」の制作が始まりました。

  • グループからは商品をバルクで購入し、ビン詰めやラベル貼りなどは事務局で行う。
  • ターゲットカスタマーは外国人。帰国時のお土産物になりうる商品とする。
  • お土産物なのでアフリカらしさ、マラウイらしさを前面に出す。
  • 空輸しても極力漏れないパッケージにする。
  • あくまでもパッケージは付加価値要素であり、質の良い商品(内容物)のみを提供する。

まずはじめに制作したものは「ハチミツ」です。プラスチックボトルからガラスボトルに変えることで漏れをなくし、アフリカらしい色使い、チテンジ(伝統の布)をパッケージに使用しました。さらにマラウイと一村一品の説明をまとめた冊子を付け、お土産物らしさを意識しました。次にコスメティックとして「リップクリーム」、「バオバブオイル」を制作しました。これらはお土産物に加え在留外国人に継続的に使用してもらうことも意識しました。リップクリームは複数の一村一品グループの商品(ハチミツ、蜜蝋、セラミック容器、オイル)を組み合わせて制作し、バオバブオイルは日本でも認知されはじめており今後の主力商品となりうるものです。最近では「ハイビスカスティー」を制作しました。これはチテンジ製のバッグにハイビスカスティーを詰めたもので軽いし漏れない、より手軽なお土産物となっています。

さてこれらの商品の成果はというと、予想以上に好評でOVOPショップにはこのお土産物を求めて来店される外国人も増えたと聞いています。またリロングウェ(首都)にある外国人向けの主要なお土産物屋に置かせていただき着実に認知度と売上げを伸ばしています。さらにインターナショナルトレードフェア(国際見本市)では、まったく同じ商品(内容物)を「既存のパッケージ」と「売るためにデザインしたパッケージ」の2種類で販売しました。既存のパッケージの方が内容量が多く価格も安いものでした。しかし完売したのは「売るためにデザインしたパッケージ」のほうでした。このことから「売れる商品を制作し成功事例を作る」という目標は少しずつですが達成されてきているといえます。ではこれらの成功事例をカウンターパートやグループメンバーはどう見ているのか。開発当初に反対こそしなかったものの難色を示していたカウンターパートは「良いパッケージの商品を提供できれば商品はより売れる」と言うことに気づき、パッケージのみを専業で行う「パッケージングセンターをつくろう」とまで言い出しました。またグループメンバーもパッケージの違いで売れることに気づき「同じボトルを使いたい」「同じラベルを使いたい」と言ってくるようになりました。このように少しずつではありますが、着実にデザインに対する意識は変化してきていると感じています。

しかしながらこれらのパッケージング開発を行ううえでいくつかの問題もあります。

  • バオバブオイルのボトルはケニアからの輸入に頼っている。
  • ハチミツのボトルは南アフリカからの輸入に頼っている。
  • リップクリームはどこかのグループが商品を届けられなくなるとすべてのラインが止まる。
  • 商品のクオリティを下げたくないので日本人が監督しなければならない。
  • 需要があるのに供給が間に合わない。
  • 新商品を開発するタイミングが難しい。

これらは一朝一夕で解決できる問題ではなく、また私ひとりでどうこうできる問題ではありません。JICA専門家、JICA事務所、OVOP事務局、そしてグループメンバーと相談し連携しながら問題解決に向けて進んでいこうと思っています。私の残りの活動期間でこれらをいかにマラウイの人々に引き継いでいくか、どのように継続させるかが当面の課題です。そして少しでも多くのマラウイアンにデザインに対する意識を高めてもらえたらと思っています。加えて言うと、「デザインの本質」は「問題の解決」であると私は考えています。私が協力隊に応募した動機でもある「途上国にこそデザインを」という気持ちを忘れずにこれからも邁進していきたいと思います。

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商品写真(インターナショナルトレードフェアにて)

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商品の説明・販売を行う事務局スタッフ(アグリカルチャーフェアにて)