ボランティアレポート「選択肢の少ない環境下での、村人との協働作業」

2014年8月6日

名前:木下 孝彦
隊次:平成24年度3次隊
職種:理学療法士
配属先:NGOスーライダー基金
出身県:東京都

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現地ボランティアを対象としたワークショップの様子

私は理学療法士として、マラウイのNGOで1年半活動をしてきました。私の活動は毎日村落を巡回し、村の障がい者・障がい児に対してリハビリを実施することです。巡回先の村は96か所あり、整備されていない悪路の中を100km以上移動して日帰りで巡回することもあります。リハビリ対象患者数は400人以上で、日本の病院で働いていた頃と比べると、本当に膨大な人数の患者を担当しています。すべての村を巡回するのに1か月から1カ月半必要で、一軒一軒の患者宅を訪問して、満足のいくリハビリを提供する事は、とても困難です。またマラウイでは慢性的に物が不足しており、リハビリに必要な機器が無いのに加えて、利用できそうな材料や機器を作る為の道具なども足りません。このように、マラウイではリハビリを実施する上でも選択肢が少ない現状を目の当たりにすることが多くあります。

私の活動は、個別リハビリテーションや生活指導、家族指導、ボランティアへの指導が中心となっています。当初は主にマンパワーとして活動していましたが、より持続性のあるアプローチを模索するなかで、巡回時には共に活動していける人材や村で利用できそうな材料、商品なども探すように努めました。その結果、各村落の意欲の高いマラウイ人ボランティアと関わるようになっていきました。

マラウイ人ボランティアとは、簡単にできるリハビリを共に実施し、現地にある資源を使ったリハビリ機器を作製する活動を行ってきました。その活動の一つとして「木の枝から作る杖作り」を始めました。現地人ボランティアが集まるワークショップの機会を使って、T字型杖、松葉杖、前腕支持型杖の3種類の杖の作り方を紹介し、その後村人によってたくさんの杖が作られるようになりました。中には不格好な杖もありましたが、十分に強度があり使用するには問題ないものも多く、現在はその杖を使って村の障がい者へのリハビリを実施出来ています。「地域の人が作った杖を使い、地域の障がい者へのリハビリを実施する」ことをモットーとしたこの活動は、選択肢の少ない環境でも自分達でできることがあるということを共に体験する機会になりました。現在ではさらに一歩踏み込んで、作った杖の長さの調整や杖での歩き方の指導方法、村にあるレンガやゴザを利用したリハビリの方法など、少ない資源を活用したリハビリを共に実施しています。そしてマラウイ人ボランティアによる障がい者・障がい児に対するフォローアップのためのシステム作りなども始めています。

村の障がい者と多くの時間を共有できるマラウイ人ボランティアに対するこうした教育活動は、私達のような専門職の人間が直接治療を行うよりも効果的であり、またその結果障がい者の生活の幅も広げていけると考えています。そしてこのような活動によって、今後も継続可能な「村人による村人のための、地域に根ざしたリハビリテーション」が少しずつ実現していければよいと考えています。

この1年半、マラウイ人ボランティアと共に活動を行ってきて、マラウイの厳しい生活環境を目の当たりにすることも多かったのですが、その中で私と共に活動をしてくれているボランティアの人達には感服することも多く、感謝しています。私の任期も残り半年ですが、彼らと共にできることを模索し、残りの活動を全うしたいと思います。

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現地ボランティアが木の枝を使い作製した杖