中等理数科教育の向上を目指してアクションリサーチ始動!

2015年6月15日

マラウイ中等理数科教育強化プロジェクト(SMASSE)もフェーズ3に入り、私達3名のプロジェクト専門家は、教師教育に焦点を当てながらも、フェーズ2までにシステムが確立した現職教員研修に加えて、理数科教育を向上させるための新たな活動を始めています。

その目玉の一つが「アクションリサーチ」。これは単なる「リサーチ」すなわち対象から情報を得るだけの研究調査ではありません。研究調査を行う人が対象に働きかけ、その変化を追っていくのです。SMASSEの場合、対象とは教員、変化とは授業や生徒の学習状況、更に教員や生徒の理数科に対する認識の変化です。しかも、分析結果を何かに発表して終わりというものではありません。マラウイの教室現場に密着することで、現場の教員が抱える問題を解決するのに適した、より実際的・効果的な教科指導法を見つけ出して、それをプロジェクトの他の活動である現職教員研修の教材に利用するためのリソースとしたり、新規教員養成課程のカリキュラムをどのように改訂していくべきかを決定するための資料にしたりするのです。従って、対象教員の授業を良くすることに加え、教員研修、教員養成課程を通じて、リサーチ活動によって得た授業の「優良事例」を全国に広めていくことを目的としています。

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チムウェツェロ・コミュニティ中等学校1年の授業(数学)

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教員(手前)と研究チーム担当者(奥)との授業後検討

例えば、写真のチムウェツェロ・コミュニティ中等学校1年(日本の中学3年に相当)のクラスには机がありません。もちろん電気も通っていません。生徒たちはベンチに座って一次方程式の授業を受けています。この日のクラスの生徒数は72人。日本の教室と事情が全く違っていることは一目瞭然でしょう。教員も熱心に教えてはいますが、研究チームの一員であるSMASSE中央講師の担当者の眼から見て、いろいろと改善する余地がありそうです。誤ったことを教えていないか、説明が不十分ではないか、黒板の使い方はどうか、生徒の理解状況を把握しているか、一人一人の生徒に頭を使わせるように配慮・工夫しているか、などなど。

この状況で、どのように授業を進めるのがよいのか。実は、担当者も、プロジェクトの専門家も、現時点で正解は持っていません。リサーチ活動では、教員と議論したり、一緒に指導案を作成したり、新しい手法を試したりしていく中で、試行錯誤でより効果的なものを探していくのです。それと同時に、例えば生徒がどこでつまずくか、どのような間違いをするか、その場合どうやって誤りに気付かせるかなどの具体的な実例を収集していきます。リサーチの対象校は、全国6教育管区のうち、3管区から合計9校を選定し、集中的に調査研究します。調査活動の主役は、教育科学技術省の教師教育開発局、ドマシ教員養成大学、マラウイ大学チャンセラー校教育学部の3チームの他に、決して忘れてはならないのが、対象となっている現場の教員たちです。この活動は、研究チームと教員との協働作業によって進めることで、初めて成果が得られるものだからです。

このリサーチ活動の成果をSMASSEプロジェクトに反映することでマラウイの理数科教育がさらに向上するものと期待されます。

(中等理数科教育強化プロジェクト・フェーズ3)