共により良い教育を提供するために

2014年4月30日

名前:山下 陽子
隊次:平成24年度1次隊
職種:PCインストラクター
配属先:リロングウェ職業訓練校(マラウイ障がい者評議会)
出身県:兵庫県

【写真】

配属先卒業式にて

私が配属されているLilongwe Vocational Training Centreは障がい者向けの職業訓練校です。職業訓練校とは日本で言う専門学校のようなもので、セカンダリースクールを卒業した18歳〜25歳ぐらいの生徒が通っています。障がい者向けとは言っても健常者も併せて教育が行われており、比率はだいたい1:1です。障がいの種類はさまざまですが、ほとんどが手足の障がいです。

私は新規で派遣されたため、配属先としてもPCインストラクターでは初のボランティアで、すべてが1から始まりました。マラウイに来る前は、障がいを持つ人々がコンピュータを使えるようになることで、生活に光が灯せれば…と思っていました。しかし、それ以前に乗り越えるべき課題が多すぎたのです。
私が赴任した当時の状況は、以下の通りでした。

1. 予算不足によりメインのコースが開校されていない
2. コンピュータコースがあるにも関わらず、動くコンピュータはたった4台
3. 講師自身も教え方を確立していない

政府系の障がい者向けの職業訓練校で全寮制のため障がいを持つ生徒は寮に住むことが出来、1日3度の食事を供給されます。しかしこの資金が足りず、学校が半年間開校されない状況で私は赴任しました。また、環境面も想像以上に整っておらず、動くコンピュータは4台。その上、日本では10年以上前に使われていたようなコンピュータで、速度もかなり遅いものでした。また、教科書等もないため講師自身教えるものに関してはインターネットで調べ、それを理解せずにただ話すという状況で教えているとはいえませんでした。

こういった状況の中で私が念頭に置いたのは、「共に」ということでした。一緒に活動するローカルスタッフ、カウンターパートと活動を行う中で、出来る限り一人で何かをするのはやめようと思いました。たとえ、その場でうまくいったとしても自分がいなくなったときに元に戻ってはもったいない、と考えたからです。私自身教えるという仕事は初めてであったため、共に改善し、共に良いところは伸ばし、より良いものを生徒に提供できるようにする。これを行いながら潰せる問題をひとつずつ潰していくことにしました。

プロジェクトその1 カウンターパートを教育ツアーへ
自身も含めて教え方にどういうものがあるのか、実際に見ることが必要だと思い、カウンターパートを引き連れ、他の同職種ボランティアが働く職業訓練校2校で研究授業を行いました。現地のボランティア、現地の講師陣、そして私自身の授業を見学してもらい、授業の進め方を学んでもらうという趣旨です。1度目は、カウンターパートは授業をせず見学のみ、2度目はカウンターパートにも授業を行ってもらいました。やはり「百聞は一見に如かず」。カウンターパートの変化は想像以上でした。一方的な教え方から双方的な教え方に変わり、授業にディスカッションを交えるようになりました。効果は継続しているので、このプロジェクトは大成功だったと自負しています。

プロジェクトその2 コンピュータ台数の増大へ
赴任後、なんとか2台のコンピュータを修理し、稼動させることに成功しましたが、授業を行うにあたり圧倒的に不足しており、コンピュータ台数の増大に向けて動きました。具体的にはNGOや国際機関に訪問し、配属先の状況を説明して、寄贈していただけるように頼むというものです。このプロジェクトは、「一発勝負」だと自身に言い聞かせ、入念に策を練りました。結果、Computers for Malawian Schoolsというイギリスの中古のコンピュータを安価で売っているNGOに出会うことができました。そして、その縁でSolon Foundationという別のNGOから8台のコンピュータを寄贈していただきました。さらに、配属先が5台のPCを購入し、新たに計13台の中古コンピュータを配属先に設置することができました。現在、19台のコンピュータが同時稼働しています。
このコンピュータ台数の増台によって、この1月からはコンピュータの中に電子テキストを格納することが出来るようになり、授業もスムーズに進むようになりました。また、他コース向けにコンピュータクラブも開講できるようになりました。マラウイでもITが日常で使われる日は遠くないと思います。その近い未来、当初の想いでもある、障がいを持っていてもコンピュータを使えることで生活に光を灯すことができると思いコンピュータクラブを始めました。ようやく自分のやりたかったことができるようになってきています。ここまで来られたのも周りの人の支え、そして何よりカウンターパートや配属先そしてJICAの協力があったからだと思います。残りわずかの任期も出来ることをしっかり全うしていきたいと思います。

【画像】

6台から19台に増台したPCルーム