マラウイボランティアレポート「廃材を使ったモザイクボード製作」

2020年8月27日

名前:橋本 彩花
隊次:2018年度1次隊
職種:小学校教育
配属先:モンキーベイ教師研修センター
出身地:東京都

マラウイの小学校には音楽、美術、図工等の科目が統合されたExpressive Artsと呼ばれる科目があります。私の活動要請の一つに、この科目の質を向上させることが含まれていました。この目標に対する最大の課題は、一般家庭で授業に使用する材料を購入する経済的な余裕がない等の理由から、実技授業を行うための材料が不足していたことでした。こうした背景から、生徒たちが入手できる材料を使って、誰もが参加できる実技授業を行うことを活動の主軸にしてきました。今回はその中のモザイクボードプロジェクトについて紹介します。

このプロジェクトを発案した背景には、材料不足の他に、生徒たちの作品を展示する機会がない現状がありました。そこで廃材を使ったアート作品を公共スペースに展示するべく、本プロジェクトを稼働しました。モザイクアートはガラス等を用いて、デザインや絵柄を描くことが多いですが、今回は壊れた机等の板の上に、ペットボトルのキャップを使って描画するよう工夫しました。担当地区内の全12校を参加対象とし、各学校で1文字のアルファベットを描き、その全12文字を繋ぎ、”MONKEY BAY TDC”(配属先の名称)という看板を製作し、配属先の前に設置するという内容です。

本プロジェクトは2019年9月から始動しました。各学校を巡回指導する中で、モザイクアートという言葉も内容も知らなかった現地教員たちの協力を仰ぐことやペットボトルのキャップも入手しにくい地域の学校のフォロー等苦労したこともありました。しかしながら、製作を進める中で興味深い発見も多々ありました。例えば、配色です。アルファベットを様々な色の蓋を使ってどのように装飾するかは担当教員に任せていました。彼らはカラフルなデザインを好むようで、あるだけの色を最大限に使ってデザインしていました。

こうした製作の最中に新型コロナウイルスによる一時帰国通知が届きました。2020年3月時点で12校中8校が製作を終えていました。悔やみきれない思いでいっぱいでしたが、今後の段取りを担当教員に伝え、帰国しました。自宅待機中に配属先と連絡を取っていたところ、1校がボードを完成したと報告がありました。自分が不在でも製作を進めてくれたその行動に胸が打たれました。マラウイでは2020年3月末より学校が閉校しています。現地報道によると、9月より開校を計画しているとのことでした。私自身任期を終えていますが、残りの学校のモザイクボード完成を心待ちに、引き続き現地の教員と連絡を取っていきたいと思っています。

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ペットボトルキャップの色分けをする生徒たち

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キャップを板に釘打ちする教員と生徒たち

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完成したボードの一部