マラウイボランティアレポート「インターネットに代わる「知識の共有」方法」

2020年12月16日

名前:上杉 佑介
隊次:2018年度2次隊
職種:PCインストラクター
配属先:ブランタイヤ中高等学校
出身地:北海道帯広市

「インターネット」の発明と「IT機器」の進歩は、私たちの社会は大きな発展を遂げてきています。特に資源が乏しいマラウイにおいてはこの二つが経済発展に大きな可能性を持っています。インターネット上では多くの知識が共有されていますが、マラウイでは通信料金が高く、インターネットへのアクセスする事は容易ではありません。また一方で、「IT機器」となるパソコンの利用は充分と言える状況にありません。

そこで、「知識の共有」と「IT機器」の問題を解決できないだろうかと考え、マラウイ国内の色々な場所でIT機器を教えるワークショップを開催してみることにしました。
「知識の共有」をできるだけ広く行うために、ワークショップ参加者には2つの条件をお願いしました。
1)「ワークショップで得た知識を2人以上の人に教える」
2)「その教えた人たちに、その知識を2人以上の人に教えるよう約束する」

この条件が実行されると、1人の人が2人に教え、その2人が4人に教え、4人が8人、8人が16人…と1人の人から多くの人へ「知識の共有」が行われることになります。ワークショップで教えたのは「IT機器」であるパソコンの使い方なのですが、具体的にはExcelの利用方法でした。マラウイではパソコンを持っていても「Wordしか使わない」という人が多いということがわかったので、教員たちが生徒の成績をまとめるのに活用できる、成績の集計方法を中心としたワークショップにすることに決めました。

こうしてワークショップは教員を主なターゲットとして、Facebookを利用して広く参加者を募り、大学生、職業訓練生、ビジネスマンなど色々な人が参加してくれました。会場は日本の教員委員会に当たるTDC(Teacher Development Centre)や中高等学校のコンピューター室を使わせてもらい、各地の隊員に協力して頂きました。停電などのトラブルに遭っても開催できるように、小型プロジェクター、スクリーンに使う布、PC用大容量バッテーリーなどを持ち込んで現地に入りました。当日に配布する資料は参加人数以上の部数を用意し、参加者が更に次の人へ「知識の共有」ができるように好きなだけ持っていってもらう形にし、Facebook上からもダウンロードできるようにしました。最終的に全国6か所で開催し、90人以上が参加しました。さらに他9か所での開催を予定し、企業スポンサーを募集して規模拡大を考えていましたが、COVID-19の感染拡大により世界中の協力隊員が日本に戻ることになり、あえなく私自身も一時帰国となりました。

参加者からは、「もっと色々なことを知りたい」「もっとパソコンを使えるようになりたい」と知識獲得への意欲の強さを感じ、「他の人にExcelを教えた」「この活動に協力したい」という連絡も受け、ワークショップを手伝いに来てくれる方もいました。残念ながらこのワークショップは計画半ばで中断となりましたが、色々な可能性を感じた良い経験となりました。そして、各会場で協力してくれた隊員のみなさんには心から感謝しています。

「知識の共有」を可能とするインターネットと「IT機器」の有効利用はマラウイの発展に必須です。IT機器を使って、インターネット上で知識が共有されれば、おのずと革新と解決策が生まれ、マラウイが自立した発展ができるようになるはずです。この国が支援に頼らず発展できる日がやってくることを心から期待します。

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ムチンジでのワークショップの様子

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助け合って学習する参加者