マラウイボランティアレポート「マラウイの“Kalibu(カリブ)”」

2022年6月24日

名前:井上里奈
隊次:2021年度1次隊
職種:小学校教育
配属先:セントテレザプライマリースクール
出身地:東京都三鷹市

マラウイに来て10か月、任地リウォンデでの生活も早8か月が過ぎようとしています。わたしがマラウイのすてきだなと思う文化「Kalibu(カリブ)」についてお話したいと思います。

わたしは小学校教育隊員として、セントテレザプライマリースクールで活動しています。STD6(スタンダード6:日本の6年生相当)に所属し、要請内容に沿ってマラウイの先生方と一緒に算数を中心に教えています。間もなくTERM2(1年はTERM1から3まで)が終わるところです。朝7時から「朝の時間」があり、STD1・2、STD3・4、STD5~8に分かれて集まり、マラウイ国歌を歌います。そして7時30分から授業が始まるというスタイルです。途中2回の休憩時間があります。1回目は15分、2回目は20分になっています。日本のように給食の時間的なものは全くありません。

さて、「カリブ」は朝の時間から始まります。朝ごはんを食べて来なかった人がパンやお米をお弁当のように詰めて持ってきています。日本だと、自分の朝ごはんは自分で自分の分を持ってきますよね。マラウイでは違うんです。「カリブ?」と始まると、食べ物を持ってきた人が持ってきたものを分けて一緒に食べます。もちろん朝の時間だけではありません。2回目の休憩時間がだいたいお昼の時間と重なるので、その時間にも「カリブ」は始まります。誰かが持ってきていれば、「カリブ」をする。持ってきていなければ、お金を出し合い何かを買って「カリブ」をする。「カリブ」の意味、分かりましたか?そんな風にしてマラウイの学校のご飯事情は成り立っています。わたしもよく「りな、カリブ」と声を掛けてもらって、たくさんのマラウイフードをいただきました。そして、たまにわたしも「今日は作ってきた。」とカリブできるように持っていきます。先生たちのおかげで、いろいろなマラウイの野菜や料理を食べる機会に恵まれました。

そして、「カリブ」は学校の中だけではありません。わたしは大家さんと同じ敷地の中にある小さいコンパウンドのようなところに住んでいます。マラウイでは1月に発生したサイクロンの影響で今でも計画停電が続いています。毎日だいたい朝か夜、もしくは両方の時間、電気がありません。マラウイスタイルで、もちろんバウラ-(七輪のようなもの)で火を起こすこともあります。が、最近は夜停電している日には大家さんが「りな、ご飯食べたの?カリブ?」と声をかけてくれます。そのおかげで、大家さんの家族と一緒にマラウイスタイルのご飯をいろいろ食べています。そして、料理の仕方も教えてくれるので、「マンダシ」や「トゥンブワ」「チグム」などのマラウイのスナック?ケーキ?や、マラウイ流の魚料理、シマの作り方も楽しむことができます。一緒にご飯を作ることもありますが、大人数のシマを作るのは本当に大変です。うまくマラウイの人のようにかきまぜることが未だにできません。そして、ときどきは、私が日本スタイルのご飯を持っていったり(おにぎり、ちらし寿司など)、一緒に作ったりしています。おいしいと喜んでくれること、日本に興味を持ってくれることが嬉しいですよね。

また、学校で活動をしていると、物がないことが本当によくわかります。教室にはチョークと書きにくい黒板(チョークが滑るし、うまく消えない)くらいしかありません。教科書は少し増えましたが、1クラス(120人くらい)に10冊程度です。それでも、1冊の教科書に生徒が集まって団子のように見ている姿や、自分で買ったおやつを「自分の分全然ないじゃん!」というくらいまでシェアしている子ども達の姿を見ると、この「カリブ」の精神に通じるところがあるのかな、と感じます。ノートを持っていない人がいれば、すぐに自分のノートのページを破って、さっとあげています。すてきな文化だなあ、といつも思います。

この「カリブ」の感覚は、マラウイの人々にとっては生活の一部で、あげなくちゃ、シェアしなくちゃ、とかそういう意識はないと思います。現地で生活をするからこそ、感じることができる感覚だとひしひしと感じます。そして、この「カリブ」の文化は、マラウイでこれからもずっと残っていってほしいです。そして、私もマラウイの人々にいろんなことを「カリブ」していけたらいいなと思います。「カリブ」の精神で、また頑張っていきます!

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先生たちとのKalibu

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大家さんとのKalibu&Pika(cooking)

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教科書を一緒に見る子どもたち