日本のコールセンターがアジアへ広がる-第三国研修「税務行政」

2019年12月24日

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日本の国税庁講師の講義を受ける研修員

税務行政では、納税者の意識を高め、税を自発的に納めて頂くようにすることが重要です。マレーシアでは、この取り組みの一環として、日本の事例を参考にコールセンターを運用しています。

10月に開催された周辺国の税務職員を対象とする第三国研修では、この納税コールセンターと税務相談コールセンターへの視察が初めて導入され、研修員の高い関心を集めました。

日本の国税庁は納税コールセンターを2002年から運用しており、マレーシアはこれを参考に2004年に納税コールセンターを開設し、電話による納付の督促を行うことで、滞納の減少に大きな効果をあげています。

また、マレーシアの税務相談コールセンターでは、電話による税務相談だけでなく、インターネットを利用したライブチャットでも税務相談ができるようになり、納税者の利便性の向上に努めています。

マレーシアが日本から取り入れたコールセンターは、第三国研修を通じて他の国へ広がりはじめています。多くの途上国では、このような納税者サービスの向上を心がけているものの、マレーシアのようなコールセンターの運用に至るのはまだ難しいようで、第三国研修で紹介されたコールセンターは周辺国から来た研修員にとって自分の国で取り入れたい興味深い事例として挙げられました。

今回の研修において日本の国税庁から派遣された専門家は、「コールセンターの施設や技術を導入するだけでは十分ではなく、それを支える人材の育成も重要である。」と研修員に助言しました。マレーシアのコールセンターも日本の税務当局との間で、視察や国際会議、研修や技術協力プロジェクト等の様々な交流を通じ、継続して職員の専門性の向上に努めた結果と言えるでしょう。

この第三国研修では、2名の税務の日本人専門家が1週間にわたり講義を行いました。このような専門的な税務の研修で培われた信頼を基に、各国税務当局間の交流が継続され、日本発のコールセンターが他の国々へもさらに広がっていくことが期待されます。

研修概要

研修案件名

第三国研修 税務行政

実施場所

クアラルンプール

実施機関

マレーシア税務大学校(MTA)

窓口機関

マレーシア外務省
JICA

研修期間

2019年11月3日~16日(14日間)

研修員

13名3か国(ベトナム、ミャンマー、ラオス)