伝統的文化と現代的手法の融合-生物多様性 第三国研修

2019年12月24日

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PCMコーディネーター(中央)によるワークショップ

アジアやアフリカの国々を対象に、サバ大学 熱帯生物学・保全研究所(ITBC-UMS)が生態系保全の研修を実施しました。回を重ねるにつれ、この研修の知名度が上がり、実施機関と帰国研修員とのつながりができるなど、よい効果をあげています。それを可能にしたのは、この研修ならではのユニークな特徴の組み合わせでした。

今年のスリランカの研修員は、2014年の研修に参加した上司からの勧めが、今回の参加につながりました。また、他の国でも応募前から当研修のことを知っている研修員もおり、この研修の知名度も少しずつ上がっているようです。

それは、この研修ならではのユニークな特徴があるからです。研修員からは多くの良い評価が寄せられますが、そのなかでもとりわけタガールとPCMという手法と政府機関同士の協力を高く評価する声が多いです。

タガールとは研修を実施するサバ州の現地語で「禁止」という意味で、同地域に古くからある環境保護のための行動の制限です。例えば、タガールにより、住民は川の中の保護地域では漁やごみ捨てを禁止し、持続的な漁業を可能にします。住民は、地域の目となり、耳となり、監視、取り締まり、保護の役割を担います。当研修では、研修員は実際にその地域を訪れ、保護の実例を見て理解することができます。

PCMとはプロジェクト サイクル マネージメントの略で、開発プロジェクトを管理する手法です。この研修では、各研修員が自分の国の状況を分析し、研修科目で理解する内容を明確にし、自分の国へ帰った後の計画を作る時にPCMを用いて理解を深めます。研修員からは、論理的に研修内容と自国の状況と関連付けることができるようになったとの声が寄せられています。

また、サバ州の様々な政府機関では、各機関がお互いに協力して、環境保護に取り組んでいます。研修員は、環境保護の目的を達成するのにこれは不可欠であると評価しています。

伝統的文化と現代的手法、そして政府機関の協力というユニークな組み合わせは、サバ州の環境保護への取り組みを反映したこの第三国研修ならではの特徴です。この知見が、より多くの人々に共有され、効果的な生態系保全につながることが期待されます。

研修概要

研修案件名

第三国研修 統合的な生物多様性・生態系保全

実施場所

コタキナバル

実施機関

サバ大学 熱帯生物学・保全研究所(ITBC-UMS)

窓口機関

マレーシア外務省
JICA

研修期間

2019年9月4日~25日(22日間)

研修員

15名7か国(ウガンダ、カンボジア、ケニア、スリランカ、タイ、フィリピン、ベトナム)