気候変動

【気候変動】

課題の現状

気候変動は、世界のあらゆる国々の安定と繁栄、人間の安全保障にとって脅威となっています。国際社会が適切かつ十分な気候変動対策を迅速に講じなければ、自然災害や感染症被害の増大、自然資源や食糧の枯渇・欠乏、生物種や自然生態系の減少・喪失、海面上昇による国土の消失等を通じ、世界の経済・社会に甚大な打撃を与える危険性が高く、気候変動対策は持続可能な開発を実現するための必要不可欠な条件のひとつとなっています。

国際社会は、2015年12月の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)で採択した「パリ協定」において、産業革命前と比較して世界の平均気温上昇を2℃より十分低い水準に保ち、1.5℃上昇までに抑えるべく努力するという目標を打ち立てました。また、国連が2015年に採択した持続可能な開発目標(SDGs)のゴール13は「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」とあり、これには気候リスクへの強靭性(レジリエンス)強化、気候変動対策の主流化、人材育成・組織・制度強化、気候資金の拡充、気候変動の悪影響に脆弱な国やグループへの特別の配慮・支援が含まれます。JICAの気候変動対策では、これら全てのターゲットの達成に貢献すべく取り組むことを目指しています。

JICAの方針

気候変動対策の新たな国際枠組と目標、日本政府のイニシアティブを踏まえつつ、人間の安全保障を確保し、JICAがビジョンとして掲げる「信頼で世界をつなぐ」を実現するために、4つの重点課題の下、開発途上国への気候変動対策支援を今後一層拡充・改善し、積極的な国内外への発信を行います。パリ協定が掲げる2℃目標を達成するためには、技術革新とその普及による社会・経済の在り方の転換が不可欠であることを認識し、日本の先進的・革新的技術を活用して、開発途上国の低炭素で気候変動影響に強靭な社会・経済への移行支援に積極的に取り組んでまいります。

重点課題

1.低炭素かつ気候変動影響に対応する強靭な都市開発・インフラ投資推進

例えばタイでは、都市鉄道を整備する円借款事業を進めており、自家用車等から公共交通機関へのモーダルシフトを推進することで、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。

2.気候リスクの評価と対策の強化

将来の気候リスクの予防・削減に重点を置いて、防災、食料安全保障、水資源管理などの分野で総合的な気候リスク評価と対策の支援を実施しています。

3.途上国の気候変動政策・制度改善

気候変動は、長期的な対応が不可欠であり、開発途上国が自ら対策を立案し、実施・モニタリングを経て改善していく力を獲得することを支援しています。

4.森林・自然生態系の保全管理強化

コミュニティによる森林管理能力強化を通じた持続可能な森林保全・利用の促進などの取組を進めています。

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

パリ協定は、2015年12月の採択から1年足らずの2016年11月に発効しました。2018年12月のUNFCCC第24回締約国会議(COP24)ではパリ協定の実施指針(ルールブック)が採択され、途上国を含む全ての締約国に共通のルールを適用することで合意がなされました。一方で、2018年10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した「1.5℃特別報告書」では、「人為活動により、工業化以前の水準と比べて、既に約1℃(0.8~1.2℃)の気温上昇が引き起こされた。現在のペースが続けば、2030~2052年の間に、工業化以前の水準と比べて1.5℃上昇に達する可能性が高い。」と報告されており、引き続き、国際社会が一体となって気候変動対策を進めていく必要があります。

パリ協定では、各締約国が「自国が決定する貢献(Nationally Determined Contributions:NDC)」(自発的な温室効果ガス排出削減目標)を策定し実施していくこと、また、最新の科学的知見に則り、このNDCを5年毎にレビューを行うグローバルストックテイクを踏まえて、よりNDCの目標を野心的にしていくことを求めています。また、NDCとは別に、2050年等をターゲットにした「長期低排出発展戦略」の策定が求められており、途上国を含め各締約国は、野心的な目標設定と実行を通じ、気候変動対策に資する取組を長期的な視点を持って推進していくことが期待されています。