防災

課題の現状

1990年以降、世界の災害件数は急激に増加しました。また、都市への人口集中などによる災害リスクの高い地域での居住の増加や各国の経済発展、無秩序な開発などにより、災害による経済被害は死者数に比べて増加傾向にあります。

企業・経済のグローバル化進展に伴い、一国で発生した局地的災害が、世界規模で影響を与えるようになっています。2011年にタイで発生した洪水は工場操業を停止させ、自動車、電機、流通などあらゆる業界で、サプライチェーンが寸断され製品やサーピスの供給が停滞した影響が世界中に波及しました。

災害は脆弱な地域を繰り返し襲い、地域経済に大きな影響を与えます。災害による被害の多くは低所得者層への影響が大きく、度重なる災害により財産や生活基盤が失われ安定的な生活ができず、貧困の負の連鎖から抜け出せない状態になります。防災による事前の対策は安定した経済の成長には不可欠な要素です。

防災への取り組みは、開発途上国の持続的な成長の基礎を確立するものであり、仙台防災枠組2015-2030、SDGs、パリ協定等、国際的な潮流にも準じています。気候変動の影響をより大きく受ける災害に対して脆弱な地域については、リスク削減の取り組みが求められています。

SDGsの17の目標に防災は明示されていませんが、複数のターゲット(1:貧困撲滅、2:食料、9:インフラ・産業、11:都市、13:気候変動など)に防災の視点が含まれており、国際社会の共通認識となっています。

JICAの方針

JICAは、「仙台防災枠組2015-2030」の実現に向け、4つの優先行動に沿った取り組みを推進しています。また、ハードとソフトのバランスのとれた災害発生前の災害対策(防災投資)や、災害発生直後の応急対応、復旧への協力を実施するとともに、災害発生後の復興支援においては、「より良い復興(Build Back Better)」を目指しています。さらに、災害発生前、災害発生後から災害予防まで災害マネジメントサイクルのすべての段階において切れ目のない、シームレスな協力を行っています。

優先行動 1)災害リスクの理解

科学的なデータに基づくリスク評価や科学技術との連携による効果的な災害対策における日本の経験を踏まえ、「災害リスクの理解」を促進する協力を実施していきます。

優先行動 2)災害リスク・ガバナンスの強化

防災関連の法令や基準作り、防災機関の能力強化、関係機関の共同体制の強化、科学技術分野との連携等に取り組みます。

優先行動 3)強靭性のための防災投資

リスク評価に基づく基準作りや土地利用規制、それに基づく防災事業の促進などに日本の優れた防災技術を活用して災害への事前の備えに取り組みます。

優先行動 4)災害への備えの強化とBuild Back Better(より良い復興)

災害による被害と影響を最小化し、早期の復旧・復興を達成するために各国において、災害への事前の備えを促します。また、大規模災害発生時の復旧・復興において教訓を整理し、そこからの学びを新たな制度や仕組みに反映し、再度災害を防ぐより災害に強い社会づくり=「より良い復興」のための支援を行っていきます。

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図:災害マネジメントサイクルに基づくシームレスな取り組み

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

1990年から国連により「国際防災の10年」が進められ、1994年の第1回国連防災世界会議において初めての国際的な防災の取組指針として「より安全な世界に向けての横浜戦略と行動計画(横浜戦略)」が策定されました。2005年の第2回国連防災世界会議では、「兵庫行動枠組2005-2015(HFA) 」が採択されました。

2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議では、経済被害が持続的な開発を阻害する要因であることが確認され、「災害リスク及び損失を大幅に削減する」ことを目指した新たな枠組みとして「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。仙台防災枠組では災害リスクを防止し削減する第一義的な責任は当該国が有するとし、先述の4つの優先行動と7つのグローバルターゲットを設け、各国の具体的な取り組み状況をモニタリングすることとなっています。
(a)死亡者数、(b)被災者数、(c)経済的損失、(d)重要インフラの損害、(e)防災戦略採用国数、(f)国際協力、(g)早期警戒及び災害リスク情報へのアクセス

仙台防災枠組の採択と同じ2015年には、9月に「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」が、12月にCOP21において「パリ協定」が採択されました。気候変動が防災、農業・食料安全保障、水、感染症対策等の分野で影響を及ぼし得ることを念頭に置きつつ、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)取り組みを進めていく必要があります。

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