資源・エネルギー

【資源・エネルギー】

課題の現状

エネルギーは、人々の生活の安定向上や基本的な社会サービスの拡充に不可欠なものです。特に、今後も人口増加が見込まれる開発途上国においては、未だに約10億人(2016年時点)もの電力にアクセスできない人々がおり、ベーシックヒューマンニーズの充足のため、アクセス向上は喫緊の課題となっています。同時に、持続的かつ健全な成長のためにも、安定的なエネルギーの存在は欠かせません。経済活動に必要なエネルギー供給量や、供給の安定性、信頼性を確保することが、その国や地域の政治的・社会的安定を支える上でも重要な要素となっています。100%に近い人々が電力にアクセスできる一部の開発途上国でも、一人当たりの電力消費量が極めて低い国も多く、より安定的な電力供給の実現が必要です。

その一方で、産業革命以来、先進国が享受してきた豊かさと繁栄は、地球温暖化問題という負の遺産を生みました。その解決は、人類共通の課題となっています。CO2総排出量の約8割がエネルギー起源であり、更にその約4割が発電由来となっていることから、エネルギーセクターにおける気候変動対策の推進は国際的な低炭素社会実現に向けて不可欠です。

こうした観点から、SDGsのゴール7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」とゴール13「気候変動に具体的な対策を」の両立を目指した取り組みが求められています。

JICAの方針

開発途上国における安定的な電力供給とアクセスの向上、そして低炭素社会を実現するため、JICAは3つの“L”を掲げ、低廉(Low-Cost)、低炭素(Low-Carbon)かつ低リスク(Low-Risk)をバランスよく満たすことを目指しています。3Lの原則の下、以下の4つの柱を軸に、有償資金協力、無償資金協力、技術協力、民間連携事業など総合的に組み合わせ協力プログラムを展開します。

エネルギーアクセスの向上

1)未電化人口が多い国(サブサハラアフリカ等)や2)島嶼国等のエネルギーの確保・供給に困難性を有する国・地域を中心に、アクセスの向上に向けた協力を実施します。この際、各国の所得水準に応じた適切な電力価格に配慮しつつ、可能な限り低炭素技術を活用します。

成長のためのエネルギー供給量の増大と信頼性向上への取組み

電化率は比較的高いものの、一人当たりの電力消費量が依然低い国を対象として、更なる電源と系統システムの拡充、そして停電率や電力ロス率等の改善に向けた取り組みに協力します。これらの取組みは民間事業者の参画の余地も大きいため、政策・制度面等の協力を通して民間投資を促進します。

低炭素化を含む気候変動対策の推進

1)温室効果ガスの排出量が多い国、2)エネルギー効率の低い国、3)今後温室効果ガスの排出増が見込まれる国を中心に、気候変動対策に向けた協力を展開し、再生可能エネルギーの導入、省エネを含めた効率化を促進します。また、新技術の開発・導入を促進すべく科学技術協力を戦略的に推進します。

長期的な人材育成

エネルギー政策、低炭素技術(地熱、水素)にかかる留学プログラムを展開し、長期的な人材育成を図ります。

課題別指針

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)が発行するWorld Energy Outlook(WEO)2017によれば、2017年から2040年までの間に世界全体で約7,692GW(日本の全設備容量は270GW程度)の追加発電設備容量が必要とされています(New Policies Scenario、以下同じ)。これに送配電等の設備を加えると、電力セクター全体で必要な設備投資額は約19.3兆アメリカドル(2,120兆円程度)と見込まれています。このような大規模な投資ニーズに対し、途上国でも各国政府やドナー資金による開発プロジェクトが多数進行しているほか、独立系発電事業者(IPP)による民間ベースでの新規発電事業も近年顕著になっています。

一方、電力セクター開発に伴う気候変動へのインパクトを押さえるための取組みも着実に進展しています。2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は、気候変動対策に係る最も重要な交際的枠組みの一つとなっており、その後のCOPを通じて具体的な運用ルール作りが進められてきました。こうした国際的な動きに加え、技術発展による再生可能エネルギー発電のコスト低減が追い風となって、全世界で再生可能エネルギーの急速な導入拡大が進んでおり、IEAは2040年に世界の発電量の40%が再生可能エネルギーになると予測しています。今後の途上国における電力セクター開発においては、こうした国際的な潮流を踏まえ、経済発展を支える安定的な電力供給と気候変動対策を両立させる取組みが欠かせません。

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