情報通信技術

【情報通信技術】

課題の現状

現在、私たちは人類史上において最も大きな情報通信革命の時代を生きています。世界人口の40%以上がインターネットにアクセスし、日々新しいユーザーが増えています。また、20%を占める貧困層の中でも、10人中7人が携帯電話を有しています。つまり、貧困層はトイレや安全な水よりも携帯電話へのアクセスの方が容易である可能性があるのです。我々は、この急速な技術革新を最大限に生かし、世界の包摂的な繁栄を目指すべきであると考えます。現在は、「ICTの浸透が人々の生活のあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」が進みつつある時代にあるといえます。この変化は段階を経て社会に浸透し、大きな影響を及ぼすことになるでしょう。まず、インフラ、制度、組織、生産方法などの従来の社会・経済システムに、AI、IoTなどのICTが導入されます。次に、社会・経済システムはそれらにICTを利用できるように変革されるでしょう。さらに、ICTの能力を最大限に引き出すことのできる新たな社会・経済システムが誕生していくでしょう。すわなち、ICTを活用したソリューションを提供することで新しい価値や仕組みを創造する「X-TECH」が進展することが予想されます。

他分野における開発効果発現を拡大、あるいは効率化するのがICTの役割であることからSDGsのあらゆる分野への貢献が期待されています。特にSDGs達成のためには、イノベーションを起こす破壊的技術(Disruptive Technology)が求められており、ICTに対する期待は大きくなっています。ICTと親和性の高い分野としては、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策促進(8.3)、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済産業性達成(8.2)、イノベーション促進を通じた産業セクターにおける科学研究促進(9.5)テクノロジー・技術の支援強化を通じた持続可能かつ強靭なインフラ開発促進(9.a)、インターネット・アクセスの提供(9.c)などが挙げられます。

JICAの方針

以下の基本方針を意識しつつ、1)政策策定能力の向上、2)人材の育成、3)インフラの整備及び4)「X-TECH」(ICT利活用)を進めます。

基本方針

(1)「X-TECH」(ICT利活用)を一層推進します。通信インフラ整備に際して「X-TECH」(ICT利活用)、つまりは他分野における展開を意識しつつ進めます。「X-TECH」の推進により各セクターの開発が一層促進され、社会経済発展やSDGs達成に寄与することを目指します。

(2)政策策定、インフラ整備、「X-TECH」のいずれにおいても、事業を推進する人材の育成が最重要であると考えます。特に支援対象者として最も多い行政官に対しては、民間ICT業者や関係機関との連携によりICT関連公共事業を実施することが求められることから、ICT政策策定人材、セキュリティ管理人材、ICT公共事業実施管理人材、ICT事業推進人材等の育成を促進していきます。

(3)我が国政策(「質の高いICTインフラ」や「サイバーセキュリティ分野における開発途上国に対する能力構築支援(基本方針)」、「宇宙産業ビジョン2030」、「インフラシステムの輸出戦略」に基づく宇宙分野の海外展開戦略、「TICAD VIナイロビ宣言」、地デジ日本方式採用国及び普及促進対象国に対する協力)との連関性を意識しつつ、戦略的な協力を行います。その際は、ICTイノベーションエコシステム全体を俯瞰しつつ、インフラ整備における民間資金の活用も念頭におき、政策策定や人材育成も含めた包括的な支援を目指します。

課題別指針

国際社会・開発協力の動向

国際社会の概要

2016年の世界経済フォーラムにおいて、初めて「第4次産業革命」というフレーズが使用されたました。これは、デジタル革命の基づき技術が社会内や人体内部にすら埋め込まれるような新たな道を表しており、ロボット工学、人工知能、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、IoT、3Dプリンタ、自動運転車などの多岐にわたる分野においての新興の技術革新を特徴としています。ドイツでは、「Industry4.0」を公表し、IoTをはじめ最先端技術を製造業に活用し、競争力の強化を目指しています。我が国ではICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた、取り組みにより人々に豊かさを持たらす「Society5.0(超スマート社会)」を未来社会の姿として共有し、取り組みを深化させています。

援助業界の動向

第4次産業革命に伴うデジタルエコノミーの進展を踏まえ、各国に加え各ドナーともに向けたICT利活用の方針を打ち出しています。例えば、ADBは、支援国の発展のためのデジタル技術の活用をサポートするために、2018年3月にDigital Technology for Development Unitを設立し、イノベーションへの集中やビジネスプロセス近代化のサポートを行うためのデジタル改革を実施しています。他にも、USAIDはイノベーションハブとして、“The U.S. Global Development Lab”を設置し、開発のインパクト拡大のためのイノベーティブなツールやアプローチを、パートナーと産み出す役割を行っています。

JICAとの関連

JICAは各ドナーとの連携強化に取り組んでいます。世界銀行とはハイレベル対話を実施し、科学技術(STI:Science Technology Innovation)を活用した、SDGs推進を進めています。

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