自然環境保全

【自然環境保全】

課題の現状

世界では、資源の大量消費や大規模な開発の結果、森林や湿地の減少、沿岸生態系の劣化、土壌劣化、生物種の絶滅など自然環境の破壊が急速に進んでいます。自然環境は、食料、衣服や医薬品など、私たちの生活に欠かせない様々な資源を提供するともに、気候、水の浄化や防災など、私たちが安全・快適に生活する条件を調整する機能を有しており、生態系が人類社会に提供するあらゆる便益である生態系サービスの劣化や崩壊は、人類の生存基盤の根幹を揺るがす問題につながります。

特に、開発途上国では、人々が貧困のために自然環境を破壊し、そのことがますます貧困を深刻化していくという環境の劣化と貧困の悪循環が起きています。地球上で失われつつある森林や湿地などの自然環境を保全し、生態系と人間活動の調和がとれた社会づくりに貢献することが国際社会の一員として求められています。

JICAは、「持続的森林管理とそれを通じた気候変動対策」「持続的な自然資源利用によるレジリエンス強化・生計向上」「保護区及びバッファーゾーン管理を通じた生物多様性保全」という3つの戦略課題を定め、開発途上国の自然環境保全に取り組んでいます。これらの取組みは、SDGsの17のゴールのうち、ゴール13(気候変動)、ゴール14(海洋資源)、ゴール15(陸上資源)にも貢献するものです。

JICAの方針

JICAは、次の3つの戦略課題に沿って、事業を実施しています。

1.持続的森林管理とそれを通じた気候変動対策

森林には木材や水の安定供給、土壌の保全、二酸化炭素等の温室効果ガスの吸収・蓄積、洪水や土砂崩れの防止などの機能があります。近年は気候変動対策としての森林保全が世界的に重視されており、2015年12月にパリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議では、国際社会が「森林減少・劣化の抑制による排出削減等」(REDD+)に取り組むことを明示しました。JICAはREDD+の体制整備や森林の持続的管理等と森林の機能を活用した防災(Eco-DRR)や流域管理への支援を行っています。

2.持続的な自然資源利用によるレジリエンス強化・生計向上(砂漠化対処等)

開発途上国では、多くの人々が居住地域の自然資源を生活に利用しています。しかし、自然の回復力を超えた過剰利用によって、自然環境の破壊や、資源の利用と管理を巡る行政と住民の間であつれきが生じています。JICAは、サブサハラ・アフリカなどにおいて、相手国政府や国際機関、NGOと連携し、地域住民の持続的な自然資源利用や生計向上活動を促進しています。

3.保護区及びバッファーゾーン管理を通じた生物多様性保全

自然資源の過剰利用、乱獲や外来種の侵入、気候変動などにより、2万種を超える野生生物が絶滅の危機に瀕していると推計されています。JICAは、保護区やその周辺の緩衝地帯において、人と自然の共生を促進するための支援を行っています。

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

自然環境保全分野の取組みは、SDGsの17のゴールのうち、ゴール13(気候変動)、ゴール14(海洋資源)、ゴール15(陸上資源)と深い関連を持っています。ストックホルム レジリエンスセンターの作成したSDGsの「ウェディングケーキモデル」では、社会課題や経済課題の土台として、これら生物圏の課題が位置付けられており、持続的な開発目標の達成に向けて、自然環境保全分野の取組みの重要性を示唆しています。

「気候」の分野では、2015年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)においてREDD+の実施及び支援を推奨することが明記されたパリ協定が、国際社会における「森林・自然環境分野」取組みにおける最も重要な枠組みです。パリ協定では、先進国が途上国の気候変動の緩和策と適応策に対して資金供与することが約束された他、近年では泥炭地管理やブルーカーボン保全(マングローブ、海草藻場等の沿岸域生態系で吸収・貯留される炭素)にも注目が集まっています。

「生物多様性」の分野では、国連生物多様性条約(CBD)のもと、2010年に設定された「愛知目標」が国際社会で共有されている重要な目標です。目標の達成状況が芳しくないことから、各国の一層の努力が求められている他、ポスト2020年生物多様性目標の策定に向けた動きが活発になっています。この他、国連砂漠化対処条約(UNCCD)が定めた「国連砂漠化対処の10年(2010年~2020年)」や世界の湿地保全に取り組むラムサール条約があり、国際社会でも生態系サービスに着目した様々な取組みが進められています。

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