貧困削減

【貧困削減】

課題の現状

貧困は、日本がODAの理念として掲げる「人間の安全保障」の観点から、看過できない課題です。

開発途上国全体の貧困人口は、アジアの経済発展などもあり、1990年の47%から2015年には14%に減少しました。しかし、全世界でいまだ約7億人が1日1.90ドル未満で暮らす貧困状態にあり、うち85%以上はサブサハラ・アフリカと南アジア地域に暮らしています。貧困から脱却した人々も、病気や事故、紛争、自然災害、市場の変化などにより、再び貧困層に転落する可能性のある脆弱な立場に置かれています。SDGsでは、Goal1において、「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」ことが目標として掲げられており、全ての男性及び女性が、基礎的サービス、土地、その他財産、金融サービス、天然資源、新技術等のについて平等な権利を持つ世界を目指しています。

JICAの方針

JICAは公正な成長とそれを通じた持続的な貧困削減のため、開発途上国における人材育成・能力開発、政策・制度の改善、社会・経済インフラの整備などの各種事業においては、1)貧困層を直接的な支援の対象とする「貧困対策」、2)直接的に貧困層を対象としないものの、貧困層が当該事業から得る便益を増大させるような工夫を事業に組み込む「貧困配慮」の2つアプローチを軸として、事業の形成・実施を進めています。

特に、貧困層の金融包摂に着目し、貧困層の良質かつ多様な金融サービスへのアクセスと活用を促進することで、消費/支出の平準化、資産形成、疾病・災害などリスクへの対応、所得の多角化と拡大を支援し、生活の安定と経済活動への参画を促します。

また、さまざまな障壁を持つ貧困層を対象とする事業は、様々な開発分野における横断的な取り組みが必要であり、政府以外の多様な主体の役割がますます重要になっています。そのため、公的セクターの支援や市民社会との連携に加え、国内外の民間セクター、特に貧困層がバリューチェーンの様々な段階に関わるインクルーシブビジネスとの連携も積極的に進め、貧困削減を後押しします。

課題別指針

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

貧困層あるいは貧困から脱却した人々は多様なリスクに直面しており、これに対応するため、さまざまな分野での社会保障や保護、能力強化が必要であるという認識がスタンダードになっています。また、近年は大規模な自然災害、環境破壊、テロ、金融危機などが貧困層の生活に深刻な影響を与え、貧困を増幅・拡大させる要因となっており、こうしたリスク要因に対応し、貧困削減を進めるための多様かつ柔軟なアプローチが求められています。現在、貧困の定義としては、安定的・持続的な生計を確保できること(1)経済的能力)に加え、健康で基礎的な教育を受け、衛生的な環境で生活できること(2)人的能力)、人々の生活を脅かすさまざまな「脅威」に対処できること(3)保護能力)、人間としての尊厳や文化・習慣が尊重され、社会に参加できること(4)政治的能力、5)社会・文化的能力)、これら5つの能力が欠如した状態であるとの考え方が主流になっています。