社会保障

【社会保障】

課題の現状

社会保障は国際的に確立された人権であるばかりでなく、生活の安定、貧困の削減を通して社会の安定にもつながります。開発途上国においても国民全体の生活の質向上の観点から、医療保険や年金など社会保障制度の整備が差し迫った政策課題となっています。SDGsにおいても、ゴール1(貧困撲滅)とゴール10(格差是正)の中で、貧困の撲滅と平等拡大の手段としての社会保障制度の必要性が記されているほか、ゴール3(健康)におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現や、ゴール8(経済成長・雇用)のディーセント・ワーク促進にも直結します。

また、障害者を含む多様な人々が社会・経済活動へ参加することは、インクルーシブかつ持続可能な成長、活力ある国づくりにつながります。日本政府が2014年1月に批准した「障害者の権利条約」では、国際協力に障害者の参加を確保することが規定されており、障害者の社会参加を制限している、社会・文化・経済・政治的あるいは物理的障壁を除去することが大きな課題です。

さらに、開発途上国では、経済発展に伴い労働災害や職業病が増加している一方で、労働安全衛生、労働基準などの法制度や実施・監督体制の整備が不十分なために、労働に起因する被害を受けても、十分な補償が得られず、貧困状態に陥るリスクを抱えた労働者が大勢います。失業の増加や若年層の雇用の問題は、社会の安定にとって大きなリスクとなる可能性があります。

JICAの方針

JICAの社会保障分野における協力は、障害と開発分野及びそれ以外の社会保障制度分野(社会保険・社会福祉制度、労働・雇用)に関するものに大別されます。

障害と開発分野は、障害者の完全参加と平等が実現できるよう支援することを目的とし、開発におけるすべての取り組みにおいて障害の視点を反映し、障害者が受益者あるいは実施者として一連のプロセスへ参加することを保障する「障害の主流化」と、障害者やその家族を主な受益者として支援する「障害に特化した取り組み」の2本柱で支援しています(ツイントラック・アプローチ)。

それ以外の社会保障制度分野(高齢化対策を含む社会保険・社会福祉制度、労働・雇用)については、東南アジア地域の中進国を中心に、高齢化対策に関する課題先進国としての日本の経験に強い関心が示されており、医療保険、年金などの社会保険制度の整備、高齢者などに対する福祉、介護サービスの強化を支援しています。これらの分野では、自国の制度の構築や運用改善のために日本の知見から学びたいというニーズが高く、関係省庁の中核人材を日本に招き、日本の制度整備や運営に関して情報提供や意見交換も行っています。また、途上国の経済成長の一方で富の偏在化や格差の拡大が社会の不安定化につながっていることをふまえ、雇用分野や労働安全衛生分野での協力にも取り組んでいます。

課題別指針

国際社会・開発協力の動向

障害者権利条約の発効を契機に、障害は人権課題であること、また障害は開発課題であり、開発のあらゆる分野において障害の視点を盛り込み、障害者の参加を保障する「障害インクルーシブな開発(disability-inclusive development)の重要性が高まっています。また障害は開発における分野横断的課題であり、様々な分野や事業において障害インクルーシブに取り組むことの重要性が高まっています。

2013年9月に開催された国連のハイレベル会合では、2015年以降の国際開発目標(ポスト・ミレニアム開発目標:ポストMDGs)に障害インクルーシブな開発を組み込む方針が明確にされ、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)においても、複数のゴールにおいて障害の視点が入れられています。

その他の社会保障分野については、1990年代後半以降、めまぐるしく変化していく社会経済の環境の中で、様々なニーズに対応する国民全体を対象とした、包括的かつ持続可能な社会保障の構築が、世界的な社会政策の優先課題になっています。ILOや世界銀行を始め、欧州連合(EU)やNGOなど多くの援助機関でSocial Protection という言葉を用いて社会保障を開発政策の中心的なものに位置づけ、支援を拡大する傾向にあります。

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