都市開発・地域開発

都市開発・地域開発

課題の現状

近年、世界的に急速な都市化が進展しています。2015年の都市人口は40億人に近づき全世界人口の54%に達しました。この傾向は開発途上国を中心に今後さらに加速し2050年には70%近くに達する見込みです。都市は世界の陸地面積の2%を占めるに過ぎませんが、世界の半数の人口が集積し、GDPの80%以上を産出しています。同時に、エネルギーの60-80%を消費し、温室効果ガスの75%を排出しています。開発途上国の各都市において、かくも高度な集積状態がかつてない速度で形成されてきていることで、インフラサービスの供給不足、慢性的な交通渋滞、貧富の拡大、環境汚染、災害への脆弱性など多くの都市問題が顕在化しています。また、一部の国々では都市化、人口増加が落ち着き、安定・成熟した都市型社会になりつつありますが、既存インフラの老朽化や高齢化等、新たな課題に直面しつつあります。こうした様々な課題を抱える開発途上国が、経済・社会・環境のバランスの取れた都市を構築できるかどうかは、当該国のみならず、地球全体の持続性にも影響を及ぼすものであります。国際場裏においても、「持続可能な開発目標(SDGs)」における都市分野の目標として、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」が掲げられ、都市問題の動向、介入策が活発に議論されるようになっており、都市開発への民間資金の流入も増加しています。JICAは、こうした背景を踏まえつつ、開発途上国の都市・地域開発分野において長年にわたり多様な協力を行ってきています。

JICAの方針

JICAは、世界に類を見ない急速な都市化や災害を乗り越えてきた日本の経験などを活用し、各都市が抱える課題に対応しつつ、1)持続可能な都市づくりのための都市政策と都市経営の実現、2)均衡ある国土・地域開発の実現、3)包摂性ある社会の実現、を基本的な考え方として、以下の戦略に基づいた支援を展開しています。

  1. 「アジア地域」の成長都市では都市インフラの整備支援を重視する一方、成熟期を迎える中進国の都市では、アセットマネジメントも提案しつつ、高齢化などの将来的な都市課題への検討もともに進めています。
  2. 低開発なまま急速な都市化が進む「アフリカ地域」では、回廊開発アプローチ(注)を推奨し、限られた開発資源を経済回廊に集約化し、持続性の高い成長軌道へと導く計画づくりを進めています。
  3. 都市人口比率の高い「中南米・カリブ地域」は災害多発地域でもあり、防災や環境などの課題を優先し、ソフト面の協力を中心に解決策を提案しています。
  4. 都市化が比較的緩やかな「中東地域」では、不安定な治安情勢を踏まえ、平和構築および紛争予防の視点での都市・地域づくりを指向しています。

さらに、開発計画の策定から都市施設の運営・維持管理まで、開発途上国の都市・地域開発の多様なニーズに応えるには、担い手となる実施機関の組織やスタッフの能力強化や、必要な法制度整備が不可欠であり、これらの側面にも十分に寄与する協力を行っています。

(注)国・地域の経済活動の中心となる重要幹線(回廊)を軸に地域の産業ポテンシャルを見出し、インフラ整備を通じて地域全体の活性化を図ることで投資促進と市場拡大の好循環をつくり、持続的で強靭な成長力を生み出す戦略的な地域開発アプローチ

課題別指針

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

近年の都市・地域開発に関する近年の国際的な開発指針・動向として、「持続可能な開発目標(SDGs)」、「パリ協定(COP21)」、「仙台防災枠組2015-2030」、「ハビタット(国連人間居住会議)3」が挙げられます。「SDGs」のゴール11「住み続けられるまちづくりを」は、包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現することを目指しており、各国際機関並びに各国開発援助機関が標榜するものです。また、2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の合意事項には、気候変動に対する適応能力/レジリエンス強化と脆弱性削減の推進への言及があり、また「仙台防災枠組2015-2030」においては災害による死者数や被災者数、直接経済損失を削減することを目指しており、都市の低炭素化及び都市化等による新たな災害リスクの削減も求められています。「ハビタット」は、途上国で急速に進展する都市化に伴う課題をはじめ人間居住に関わる課題解決のために、各国政府、地方公共団体、NGO、国際機関等の代表者が一堂に会する正式な国連会議であり、1976年から20年おきに開催されています。2016年の「ハビタット3」では、幅広い人間居住に係る課題の解決に向けた国際的な取組方針「ニュー・アーバン・アジェンダ」がとりまとめられました。以上、ここでは4つの代表的な国際的な開発指針を取り上げましたが、全世界的に都市化が進行するなかで、今後、様々な都市・地域開発に対する指針等が議論・策定され、その動向が加速していくことが想定されます。

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