水資源

【水資源】

課題の現状

水は飲料水や生活用水としてだけでなく、食料生産や経済活動に必要な資源として人間の生活を支えています。しかし2015年時点で、約8.4億人が基本的な給水サービスを利用できず、23億人が基本的な衛生施設(トイレ)を使えないといわれています(図1,2)。この状況を踏まえ、SDGsでは「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保」(ゴール6)を定めています。

飲料水を得るために毎日水汲みを行う人も多く(主に女性や子供)、水売りからの購入や水因性疾病の治療に多額の出費を強いられている家庭もあります。安全で手頃な価格での水の供給は、ジェンダー、教育、母子保健、及び貧困削減等の課題の解決、さらには社会や経済の発展にも関連しています。

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図1.基本的な給水サービスを利用できる人々の割合(2015年)
(出典)Progress on Drinking Water, Sanitation and Hygiene 2017(Update and SDG Baselines), JMP

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図2.基本的な衛生施設を利用できる人々の割合(2015年)
(出典)Progress on Drinking Water, Sanitation and Hygiene 2017(Update and SDG Baselines), JMP

人口増加や経済発展、生活水準の向上等に伴って水需要は増え続け、水資源分野の課題は、今後益々深刻化することが懸念されています。水資源は、食料生産のための灌漑用水が水利用の約7割を占めているほか、エネルギー供給においても重要であり、食料やエネルギーの安全保障に対する制約要因になることも懸念されています。限られた水資源を効率的に配分し、水利用の持続性を高めることが強く求められています(図3)。

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図3.2030年には水需要に対して水資源が40%不足
(出典)Charting Our Water Future, The 2030 Water Resources Group の図を編集

日本は100%近い水道普及率を達成し、水利用の効率化について世界有数の実績を誇っています。一方で多くの食料を輸入に頼っており、それらを国内で生産すると仮定した場合に必要となる水(これを「バーチャルウォーター」と呼びます)を、開発途上国を含む海外に依存していることになります(図4)。そのため、世界の水資源問題の解決に携わることは日本の責務であるといえます。

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図4.バーチャルウォーターの輸入量(2005年)
(出典)平成25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書、環境省

JICAの方針

JICAは水資源分野(水供給・衛生・水資源管理)において、ゴール6に定められた8つのターゲットのうち、特に

6.1「安全で入手可能な価格の飲料水に対する全ての人々の公平なアクセス」、
6.2「適切で公平な衛生施設と衛生的行動へのアクセス、野外排泄の撲滅」、
6.4「水利用効率の改善と持続可能な取水による水不足の減少」、
6.5「統合水資源管理の推進」

の達成に向けて、

  1. 都市給水、
  2. 村落給水、
  3. 衛生、
  4. 水利用効率の向上と持続的な取水、
  5. 統合水資源管理

の5つのサブセクターに分けて、積極的に協力を進めていきます。

また、JICAの強みを活かした協力手法として、以下の4点を挙げます。

  1. キャパシティ・ディベロップメントとインフラ整備の双方への協力
  2. 中長期的な視点を踏まえた協力
  3. 国内の幅広いネットワークと我が国が培ってきた知見、経験、技術を活用した協力
  4. これまでの協力を通じてパートナー関係を構築した途上国の水・衛生関連機関の知見を動員した途上国間の南南協力、他の開発パートナーとの連携

そして各取り組みを進める際には、以下の点に配慮します。

  1. 貧困層・脆弱層への配慮、ジェンダー配慮、人権アプローチ
  2. 平和構築・復興支援、難民支援、緊急支援
  3. 環境社会配慮
  4. 気候変動適応策、緩和策
  5. 防災の主流化
  6. 国際河川、越境地下水
  7. 関連セクターとの連携強化
  8. 民間セクターとの連携強化
  9. SDGsのモニタリング指標を踏まえた協力の実施。

課題別指針

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

水資源を巡る認識としては、水・衛生へのアクセスをBasic Human Needsや人権として重視する考え方と、水資源管理や水質汚濁の問題を地球環境問題や天然資源の持続的な利用の立場から重視する考え方があります。近年では水不足や気候変動への危機感から、水資源は人類にとって大きな安全保障上の問題であるという見方や、水需給の逼迫や環境問題の深刻化に伴って、関連セクターと協調した総合的な水資源管理が必要であるという考え方が広く共有されています。さらに、水供給・衛生サービスの供給については、公的資金の不足や非効率な運営の問題から、民間セクターの活用が広く行われるようになっています。

SDGsゴール6のターゲットには、MDGsから引き継がれた水・衛生へのアクセスに、水質の改善、水利用の効率化と持続的な取水、統合水資源管理、水に関連する生態系の保全が加わりました。特に水供給に関して、MDGsが「改善された水源にアクセスできるかどうか」で安全な水へのアクセスを評価していたのに対し、SDGsでは、ターゲットの中に、「安全(safe)」で「入手可能な価格による(affordable)」「公平な(equitable)」アクセスという文言が入りました。さらに、このターゲットの達成状況のモニタリングを担う世界保健機構(WHO)と国連児童基金(UNICEF)は、最終的に目指すべき「安全に管理された水源(safely managed)」を、「改善された水源(管路給水、深井戸、保護された浅井戸や湧水等)で、敷地内にあり、必要な時に入手可能で、糞便性指標や優先度の高い化学物質指標の汚染がない」ような水源と定義しています。このように、水質、価格、水汲み労働なども含めた水へのアクセスの「質」に注意が払われるようになったことがSDGsの大きな特徴です。

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