お知らせ・トピックス

セミナー「世界の潮流から考える日本の教育のミライ」を開催しました

2017年3月23日

会場の様子

【セミナー・シンポジウム報告】
「世界潮流から考える日本の教育のミライ」セミナーを開催—2020年に向け国際理解教育/開発教育をムーブメントに

JICAは、途上国に関する様々な情報と国際協力の経験を活かし、日本国内の教育現場に対して国際理解教育/開発教育を支援する事業を行っています。2017年2月26日、JICA地球ひろば主催により、セミナー「世界潮流から考える日本の教育のミライ」を行い、約140人の参加者が集まりました。(教育新聞社後援)

2020年からの学習指導要領の改訂に向けて、グローバル化する社会に対して主体的に生きる力や、自ら考え発信する能力の重要性が高まっています。また、2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあり、国際理解やボランティア精神に関する教育への関心が高まっています。このような時代において日本の教育に求められていることをあらためて考えるためにこのセミナーを実施しました。

グローバル化する社会をリアルに学ぶ場の重要性

高橋一也氏 講演

鈴木寛氏 講演

第一部では、「世界潮流から考える日本の教育のミライ」をテーマに、講演とパネルディスカッションを行いました。

工学院大学付属中学校教頭の高橋一也氏から、教育界のノーベル賞と言われる英国「バーキー財団」によるグローバルティーチャー賞TOP10に選ばれた際の様子や、「学びの拡張」をキーワードに学校全体を学びの場にする取組みが紹介されました。そして、これからの教育は教科学習に加え、「リアルな学習体験」が重要であるとし、具体的な事例として、高校生と10日間インドネシアに行き、ゴミ問題を現地の社会起業家と考えるプログラムを実施した話を紹介しました。

文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏からは、「グローバル教育の実践者はこれまで隠れキリシタンのように隠れて実践してきたようなものだが、やっと時代が追いついた。これからは大きなムーブメントになる。」と参加者にエールが送られました。そして、世界の最大の課題である難民問題が日本では十分知らされていない点や、地方でも農業、介護、観光等、日本人だけでは完結しないのに、グローバル化が一部のことしか認識されていない点に懸念を示し、これからの時代の教育に関して、「想定外を生き抜く力を養うために、プロジェクトベースドラーニング(PBL)による課題解決力と、先人からの教えを学ぶ教養教育が大事」「昨今のヨーロッパにおける自国の教育を受けた人によるテロ事件の発生から、寛容、多文化共生をいかに教えるかが世界の教育における大きな課題となっている。」との説明がなされました。

持続可能な社会を考える教育を

有識者とのパネルトークセッション

パネルディスカッションでは、目白大学名誉教授の多田孝志氏から、学力とは何かを問い直すべきとの問題提起がなされ、「発見する力」を養うための深い思考力や対話力を育成することや、個性の軽視を起こさず異質なものを活かす「共生体験」の重要性についてなどが指摘されました。開発教育協会(DEAR)事務局長の中村絵乃氏からは、2030年の持続可能な開発目標(SDGs)に向けて、持続可能な社会を考える視点を持ち、社会に参加する力を養う教育と、そのために学校を社会に開いて外部者を巻き込むことの重要性につき、話がなされました。JICA地球ひろば所長田中雅彦からは、海外への留学生の減少や、青年海外協力隊の応募者がピーク時の3分の1になったことを紹介し、日本人の内向き志向が進んでいる一方、ASEAN7か国にとって最も信頼できる国は日本であるとする世論調査を紹介し、海外での活動や国際協力の重要性を強調しました。そして、JICAの国際理解教育/開発教育支援事業の紹介をした上で、緒方貞子元理事長の「国際協力を日本の文化に」したいという思いを紹介しました。

最後に、鈴木寛氏が「今日は関係者と良いキックオフの話ができた。世界の現実を伝える教育の普及を今後皆さんと一緒にやっていきたい。」と締めくくり、関係者による今後の活動のさらなる活性化と関係者の連携に向けた貴重な機会となりました。

学校の授業で途上国を伝える実践者の取組み

第2部では、以下の通り、JICAグローバル教育コンクールの取り組み部門上位2賞の入賞者と、JICA主催の開発教育指導者研修に参加した中から3人の実践者につき、2つの事業に審査員とアドバイザーとして関わる中央大学教授の森茂岳雄氏から紹介いただき、分科会を行いました。各分科会では、教員を中心とした参加者が、熱心に実践事例を聞いていました。分科会の内容は以下の通りです。

・グローバル教育コンクール「取組み部門」 国際協力機構理事長賞
堀尾美央氏(滋賀県立米原高等学校)
地方の高校で、スカイプで世界とつながり交流を深め、協働作業などを行った実践
・グローバル教育コンクール「取組み部門」 地球ひろば所長賞
馬渕哲哉氏 (大阪府立岸和田支援学校・バリアフリー教育ネットワーク)
アジアの国との交流から協力活動に発展し、自己肯定感の育成につながった特別支援学校の事例

・開発教育指導者研修〜小学校での実践例
小島由紀子氏(北海道札幌市立南の沢小学校)
途上国の同年代の子供の生活や学校の教育を題材に、手作りの分かりやすい教材を使った授業

・開発教育指導者研修〜中学校での実践例
野村佳世氏(岐阜県大垣市立上石津中学校)
負の連鎖カードなどJICAの教材を活用して、世界の課題と自分にできることを考えさせる授業

・開発教育指導者研修〜高等学校での実践例
伊藤恵氏(宮城県仙台城南高等学校)
エネルギーをテーマに、他の教科の教員や大学教授などを巻き込んで連続で行った授業実践

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