日本の先端技術で途上国のインフラ老朽化に挑む:土木学会とJICAが初の覚書を締結

2019年3月6日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、3月5日、JICA本部(東京都千代田区)において、公益社団法人土木学会(以下、土木学会)と道路アセットマネジメントの海外展開と人材育成を目的とした覚書を締結しました。土木学会とJICAが覚書を交わすのは初めての取り組みです。

道路や橋などのインフラの維持管理や老朽化対策は日本国内・開発途上国に共通した課題です。JICAは、2017年10月に「道路アセットマネジメント・プラットフォーム」(注1)を立ち上げ、途上国での予防保全型のインフラ維持管理やアセットマネジメント手法に基づいた道路行政の実現に向けて、日本国内の知見・経験や人材を効果的に活用できる体制づくりを行いました。併せて内閣府のSIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術(以下、SIPインフラ)と連携し、日本国内の先端技術の海外展開に取り組み、新しい試みを実現させてきました(注2)。

このたび、これまでのSIPインフラの活動を引き継ぐとともに、土木学会が有する広範な組織と知見・技術に基づき、さらなる成果の普及と海外展開を主な目的に、土木学会内に「インフラマネジメント新技術適用推進委員会」が新たに設置され、土木学会とJICAとの間で道路アセットマネジメントについての覚書が署名されました(注3)。

土木学会は研究者、建設コンサルタント、行政機関等の多様な知見を持つ約4万人の会員を擁しており、今回の覚書を通じて、会員の有するインフラ長寿命化やアセットマネジメントに関する世界水準の技術や知見をJICAの開発途上国支援に活かすことが出来るようになるとともに、JICAが現場での研鑽機会を提供することで若手土木技術者の人材を育成する効果が期待されます。

両機関の間での主な協力内容は以下のとおりです。

(1) インフラ技術の海外での普及・実装に向けた、土木学会からJICAプロジェクトへのインフラ技術の推薦・紹介及び同技術のJICA事業を活用した試行・展開。

(2) JICA道路アセットマネジメントプラットフォーム事務局及び開発途上国関係者への土木学会からの技術的指導・助言。

(3) 開発途上国からの「道路アセットマネジメント」に関連する研修事業への協力(長期研修員の受入れ及び長期研修終了後の支援、インターンシップ活動の会員企業での受入れ、課題別研修への協力等)。

(4) 土木学会インフラマネジメント新技術適用推進委員会が実施する海外での技術交流事業とJICA事業との連携協力。

(5) 土木学会インフラマネジメント新技術適用推進委員会が実施する海外技術者派遣に関してJICA事業での受入。

注1:JICA道路アセットマネジメントプラットフォーム
途上国のニーズと日本国内の知見・経験や人材とのマッチングを行うために2017年10月にJICAが立ち上げた実施体制。研究成果の途上国への導入のみならず、人材育成手法の普及、長期研修員の受入れなど、さまざまな支援を組み合わせて、長期的・段階的に予防保全型の維持管理の定着を図っている。

注2:SIPインフラとの主な連携成果
SIPインフラの21の研究開発テーマの研究者との意見交換を通じ、これまでに以下の3つの開発技術がJICA技術協力プロジェクトで導入・活用を開始。
・橋梁点検ロボットカメラ(バングラデシュ)
・スマートフォンによる路面性状把握システム(ケニア)
・斜面崩壊早期警報システム(ブータン)

SIPインフラ地域実装支援チームを構成する大学とJICAとの連携により長期研修員(留学生)の受入れを開始。2018年4月にはラオス・カンボジアから4名が修士/博士課程に進学。2019年4月からはフィリピン・モンゴル・バングラデシュ・エジプトから7名が修士/博士課程に進学予定。

岐阜大学とザンビア大学が2019年1月30日に国際交流協定(MOU)を締結 。今後、ザンビア国でのJICA技術協力プロジェクトと連携してザンビア大学内での技術者育成体制の構築を目指す。