ナカラ回廊地域の小規模農家の生計向上に向けた連携を模索

2019年7月4日

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2019年7月4日、JICAは、マプトにて、農業・食糧安全保障省(MASA)とともに、「ナカラ回廊におけるダイナミックで人間中心の農業と地域経済の成長をかたちづくる」と題したセミナーを開催し、モザンビーク政府、国際開発機関、NGO、学術機関、在外公館などの幅広い組織から出席者がありました。

本セミナーは、ナカラ回廊地域の農業・農村開発を行う関係者の取り組みにおけるアプローチとともに、その成果を共有することを目的としたもので、互いの取り組みから学びあい、共有されたアプローチのより広い活用を目指し、また、ナカラ回廊地域におけるさらなる農業・農村開発への効果的かつ効率的な貢献のための連携を模索することが期待されていました。

セミナーは、開催目的と当該地域に対するJICAの協力について触れたJICAモザンビーク事務所の遠藤浩昭所長の挨拶に始まり、農業・食糧安全保障省のVictor Canhemba事務次官の挨拶を以て正式に開会しました。Canhemba事務次官の挨拶の中では同省がパートナーと協力しつつ農家の生計向上のために全力を尽くす所存であることとともに、連携に向けて活発な議論がなされることに対する期待も述べられました。

開会の挨拶に続いては、米国国際援助庁(USAID)の経済開発のための政策環境支援プログラム(SPEED+)の農業政策アドヴァイザーを務めるRafael Uaiene博士が、ナカラ回廊における農業開発の課題について基調講演を行いました。Uaiene博士は、当該地域の潜在性を生かすには農業の変革が必要であり、そのための鍵となるのが5つの「I」(Institution, Investment, Infrastructure, Innovation, Incentive)だと語りました。また、従来型の農業を続けるのか、変革を取り入れた農業を行うのかは、農家自身が、従来型以外の選択肢も認識した上で選択すべきであることが強調されました。さらに、ナカラ回廊地域の農業・農村開発分野の活動は、実施主体が異なっても目指すものは共通であることから、効果的に変革を促進するためには、開発関係者の間での知見の共有と整理された連携が不可欠であるとの見解が示されました。

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JICAと農村市場促進プロジェクト(PROMER)の事例共有のセッションの後、コミュニティ開発基金(FDC/NGO)、世界銀行の支援を受けてSUSTENTAプロジェクトを実施している持続可能な開発のための国家基金(FNDS)、農業・食糧安全保障省、国際農業開発基金(IFAD)及びJICAが参加するパネルディスカッションが行われました。各パネリストはそれぞれの取り組みの特長やナカラ回廊地域の農業が直面している農業について考えを述べ、聴衆からの質問に答えるかたちで、政府との間また開発関係者間で取り組みに関して情報共有をすることと調整された状況下で連携を行うことの重要性が結論として確認されました。また、情報共有と調整における政府の役割は不可欠であり、政府が長期的な政策を策定し、これを実現するための公共サービスを提供する役割を担っていることをふまえると、政府との協働が協力の持続性を高めるという認識も共有されました。

閉会の挨拶において、農業・食糧安全保障省計画・国際協力局のDelfim Julio Vilissa局長は、非常に活発な議論があり有益なセミナーであったと述べました。同局長は、最近の政府の動きにふれつつ、情報共有への協力要請と調整における政府のより積極的な関与への可能性を示唆してセミナーを締めくくりました。

セミナーの中では、登壇者だけでなく参加者の中からも、本セミナーを通じた情報共有や連携の模索を評価する声が聴かれました。今回のセミナーのような機会を通じて、ナカラ回廊地域の小規模農家がより良い生活を享受できるよう、JICAは他のパートナーと手を携え、さらに大きな成果を出すための努力を続けていきます。

ナカラ回廊地域におけるJICAプロジェクトのこれまでの成果については以下をご参照ください。